この特集にあたって
- 「コロナ禍での観光業界の具体的な状況を知りたい」
- 「観光に携わる方々がこの状況をどのように捉え、動いているのか?」
この記事はそのような方へ向けて書いています。
(この記事は2021年7月6日の取材をもとに作成いたしました)
今回は「茶道教室 古都」
今回は「茶道教室 古都」の倉中さんにお話を伺いました!
古都さんは、「忙しい現代人に、お茶と美意識で、心の栄養補充できる場所を提供する。」を理念に、国内外問わず沢山のお客様に素敵なお茶体験を提供するお店です。
古都さんのHPはこちらです↓
https://jpn.teaceremony-kyoto.com/
多くのお客様に愛されている古都さんに、コロナ禍の様子や取り組みについてお聞きしました!
>プロフィール
茶道体験 古都
倉中梨恵さん
1. 古都さんについて
-事業を始めた経緯について教えてください。
きっかけは、自分で茶道教室をやりたいと思ったことですね。
元々、祇園の方で同じようなお店に勤めたことがあったのですが、その時に季節感によりフォーカスしたかたちで教室を開きたいと思いました。
季節感というものは茶道にとって大切な要素の一つだと考えておりまして、実際に毎月季節に合わせてお道具を変えていきます。
私はこの四季折々の変化を感じられる茶室に魅了され、日本の方だけではなく外国の方にも季節感を楽しむということやお道具の奥深さについて知っていただきたいと思い、金閣寺の近くでオープンすることにしました。
-では、はじめから外国の方に対してサービスを提供しようと考えていたのですか?
そうですね。
外国人の方のニーズが圧倒的に多いので、外国人の方向けが大きいですね。
私が一番得意としているところが、外国人の方に英語を介して体験していただいたり説明をさせていただくことですので。
もちろん日本人の方にも利用してもらいたいので外国人オンリーではありませんよ。
どのような方にも、茶道を通して日本文化や季節の行事などの、心が落ち着く体験を提供していけたらいいかなと思っております。
2. コロナ禍の様子と取り組みについて
-コロナ禍の様子についてお聞きしてもよろしいですか?
お客様はほぼいらっしゃらないですね。
コロナ以前は、一年中着物を着て1日5セッション。特に春であれば8セッションと、毎日ずっと教室を開いていたのですが…
今は時々教室を開きつつ、福祉事業など他の事業に取り組んでいます。
-コロナ禍を通して、見直したことや新しく気付いた点などございましたら教えてください。
クラウドファンディングや新事業など全く新しいこと始めているので、より人とのつながりが大事になってきたのかなと思っております。
特にコロナが流行した初期の頃は、見ず知らずの人に会うのは控えようという雰囲気がありましたよね。
このような状況下でも来ていただける方・協力してくださる方といったら、SNSでも人の紹介でも、信頼関係を築けている方たちなんです。
人とのより深い繋がりの重要性を改めて感じております。
3. クラウドファンディングと農業
-倉中さんが農業に参入するとクラウドファンディングサイトで見ました。茶道と180度違う世界のイメージでしたので驚いたのですが、農業に参入する理由や意図についてお聞きしてよろしいですか?
コロナによって事業のあり方や今後の方針を考え直す過程で、より社会に必要とされることをやりたいと思ったことが大きな理由です。
お客様が来られなくなり色々考えていた時に、そういえば日本って食料を輸入品に頼っているところがあるなと。
インドネシアのバリ島に住んでいる方に聞いたのですが、今のインドネシアは日本の高度経済成長期のように国が豊かになり人口がどんどん増えているそうで、他の新興国含め今まで輸出用だった食料が自国消費に使われるようになっています。
大部分を輸入に頼っている日本にとって、今はいいとしても将来食べ物がある保証はないので、日本の食料自給力を上げていかないといけないと思ったのです。
そして、私らが農業を行うことで、これからの時代にとって、少しでも社会の役に立てるのではないかと思い、農業参入を決めました。
-農業をする上で意識していることはありますか?
生姜を生産して販売しようと思っているのですが、無農薬でつくることに重きを置いております。
私も含めて日本に住んでいる多くの方は、国産の食品は安全で何の問題も無いという風に生活していますが、実は他国に比べて、面積比率からしても、農薬をとても多量に使っていると言われています。
お惣菜や食料品には、防腐剤等が多く使われていますからね。
コロナ禍で健康に注目されていますけど、食べ物を通して自分の免疫力を高めたり健康状態を良く保つことは大事だなと思います。
さまざまな考え方があると思いますが、うちでは農薬や除草剤、動物性堆肥を一切使わず、微生物の力を高めることで土づくりをし、おいしくて健康的な食べ物をつくっております。
4. これからの倉中さんについて
-倉中さんにとって、茶道の良さとは何ですか?
心が落ち着くというのが大きいです。
銀行に勤めていた時は、家と会社を行き来する繰り返しで、いつも何かに追われているような生活でした。
しかし、一度お茶室に入ると、いつも静かで、普段と違う世界に行けるような気がするんですよね。
このような空間の中で、季節に合わせたしつらえやお道具を楽しむ。
そして、同じ季節が巡ってきてお道具を見た時に、「あ、またこの季節が来たな」とか、「去年の今頃はこんなことしていたな」とか思い出します。
それが私にとってすごく落ち着きます。
忙しい現代社会でどうしても忘れがちな季節感や心の落ち着きを思い出してくれるのは、茶道の良さだと思います。
-倉中さんは、茶道以外に華道とか、あと他に日本文化の資格みたいの取られているのを見て、日本文化がとても好きなのかなと思いました。
実は日本文化の習い事は一つ始めると、数珠繋がりで他の日本文化も取り入れていくことになります。
華道を始めたのも、お茶の先生がお花を同じ所で教えてはったからです。
そして、お茶もお花も着物を必ず着るので、それで同時に着物についても学びました。
お茶から入って、お花や着物、ひいては日本文化について知っていったという流れですね。
-今後の取り組みについて何かありますか?
茶道教室の方は頑張ってこのまま何とか維持をして、外国の方が再び観光客の方来られるようになりましたら、茶道を通して日本文化を伝えていきたいなと考えております。
また、人との関係の部分も大切にしていき、オンライン含め色々なところでつながった人が集まって、心が落ち着くような体験や農業などを一緒に行ったりできるイベントや空間を作っていきたいですね。
みんながつながれる場所にしていけたらいいなあと思っております。
中井の一言コメント
今回の取材を通して、誰でも情報発信ができる世の中において、多くのお客様が求められているホンモノの茶道体験を提供することの重要性がわかりました。
また倉中さんの、非常時だからこそ人との繋がりを再認識し新しいことへ挑戦する姿勢には多くの学ぶことがあると感じました。
倉中さん、この度は取材に応じてくださり本当にありがとうございました!