この特集にあたって
- 「コロナ禍での観光業界の具体的な状況を知りたい」
- 「観光に携わる方々がこの状況をどのように捉え、動いているのか?」
この記事はそのような方へ向けて書いています。
(この記事は2020年7月8日、2021年6月4日の取材をもとに作成いたしました)
今回は『京の宿 綿善旅館』
今回は「京の宿 綿善旅館」若おかみの小野さんに再度、お話を伺いました!
綿善旅館さんは錦市場の近くで営業されている老舗旅館です。
通常の旅館業はもちろんのこと、定期的にイベントも開催しており、従業員一人一人が個性あふれるとても魅力的な旅館です。
綿善旅館さんのHPはこちらです↓
常日頃お客様にスペシャルな体験を提供している若おかみに、コロナ禍での状況やこれからの観光についてのお考えをお聞きしました!
>プロフィール
京の宿 綿善旅館
若おかみ 小野雅世さん
1、綿善旅館さんについて
-綿善旅館さんは毎年たくさんのイベントを開催しており、とてもユニークだと感じました。このようなイベントを開催する意図についてお聞きしてもよろしいでしょうか。
私は「四方良し」という考え方を大切にしておりまして、お客様も従業員も取引先さんも京都という場所・地域も全てがハッピーであることが大事だなと思っています。
この想いのもと何ができるか考えたときに、その時その時の時勢を把握し考えて動くということがそれらのイベントにもつながっていると思います。
-1回目の緊急事態宣言から約1年がたちましたが、何か新しいイベントや取り組みなどは行いましたか?
昨年以降、オンラインでのインターンシップ開催やYouTuberデビューなど、新しい取り組みを沢山行っております。
「鬼の宅配便」というものもやりまして、恵方巻きを購入して下さった方でお子様のいる家庭に、鬼がお届けにあがるサービスです。時間帯や家への入り方、鬼の怖さなど調整でき、地元のお母さん方からたくさん依頼いただきました。
ですので、宿泊という旅館本来の動きは非常に減っていたのですが、一年中何かしらはやっておりました。
-まるでエンターテインメント業ですね。
そうですね。
ただ、多くの方に喜んでいただくというのが旅館業の本質ですので、手段が変わっただけでやっていることは変わっていないのかもしれません。
旅館の経営者としては稼がなくちゃいけないと思うのですが、本業で稼ぐとなるとどうしても人の流れを生んでしまう。それは感染リスクをあげてしまうとともに、社会に対して不義理なことではないのかと複雑な想いを抱えておりました。
そして、このような状況の中で何ができるのかと考えたときに、近隣の方に向けてのエンターテインメント性の高いモノやサービスが自然と出来上がっていきましたね。
つい最近もLINEスタンプを制作したんですよ。
綿善旅館さんのスタンプはこちらです↓
https://zh-tw.facebook.com/watazen/posts/4009749112411841
-綿善旅館さんでは本当に沢山のアイデアが生まれますね!
私たちの旅館は思いついたものを何でも行える環境ですので、スタッフが「これやっていいですか?」といった感じで気軽にきてくれたり、定期的にアイデアを募っております。
その他にも、スタッフ一人ひとりのキャラクターを尊重しております。このコロナ禍でもクリエイティブなことを行う方がいたり、字・お礼状の練習や京都弁をマスターするなどスキルアップを図っている方もおりまして、それぞれの個性の掛け合わせで新しいアイデアが生まれているのだと思います。
2、これからの観光について
-コロナ禍において観光業界及び宿泊業が行えることなどはありますでしょうか。
このご時世ですので、ストレスを抱えた方々が多くいらっしゃると思います。
そのような方々に対して非日常をご提供することこそ私たちができることだと考えております。
具体的には、
①旅行に行くという非日常を皆様に味わっていただく
②コロナ対策を踏まえた上で安心してお泊まりしていただく
③思い出に残るようなスペシャルな場所を提供する
といったものです。
宿泊業として本来やるべきことを確実にすることが、私たちが今できる最大限だと思っております。
-観光が1度リセットされた今、新たに見えてきたものはありますか。
見えてきたというよりは、前々から気になっていたけれども手がつけられなかったことを進める機会になりました。
きめ細やかな接客の部分が多いのですが、具体的には、お客様によく聞かれる項目をQ&Aとしてまとめて可愛い冊子にしたらどうかなど、そういうものを全部整理しながら現在は動いています。
また、地域の方々とより仲良くなれたと感じています。
6、7月頃は通常であれば修学旅行生の皆様がいらっしゃっている時期で、毎年本当に周りの方々に助けていただいておりました。そのため今回、今までの感謝の気持ちとして、お弁当などをリーズナブルなお買い求めやすい価格でご用意しました。
我々は地域の方々と良い関係を築くことで「みんなの綿善さん」「近所の綿善さん」になりたいと考えております。この考えは私の宿泊業を営む原点であり、今回私たちの原点を見つめ直すことができました。
今後は売上を追い求めつつ、今回発見した原点を見失わないように従業員共々営業していきたいと思っております。
3、 天麩羅ナイト2021について
-今年も天麩羅ナイト開催するのですか?
今年は7月27~31日の5日間で開催する予定です。
今年は、八坂神社の前にある「ぎおん川勝」さん、という漬物屋さんのお漬物を天ぷらにしようと考えております。
今年で7回目を迎える名物イベントになりました。
-絶対おいしいですね!
絶対おいしい。試食会もスタッフ一同めっちゃテンション上がって(笑)。
全ての料理が最高で、絶対に満足していただけると思います。
「天麩羅ナイト2021」の詳細はこちらです↓
https://www.facebook.com/watazen/posts/4084413764945375
中井の一言コメント
今回の取材を通して、旅館業を営む上での心構えや人と人との繋がりの大切さを学ぶことができました。また、小野さんの、そして綿善旅館の皆さんの明るく楽しい雰囲気がひしひしと伝わってきました。
小野さん、この度は取材に応じてくださり本当にありがとうございました!