この特集にあたって
- 「コロナ禍での観光業界の具体的な状況を知りたい」
- 「観光に携わる方々がこの状況をどのように捉え、動いているのか?」
この記事はそのような方へ向けて書いています。
(この記事は2021年8月25日の取材をもとに作成いたしました)
今回は「株式会社ナノボ」
今回は名古屋で観光コンサルティングを営む「株式会社ナノボ」へお話を伺いに行って参りました!
ナノボは「日本を世界と繋ぎ、共に未来へ」を事業理念に、スペイン出身のエリサベス・ヨピスさん(以下エリさん)とドイツ出身の山口レナさん(以下レナさん)によって2021年に立ち上げられました。
ナノボさんのHPはこちらです↓
コロナ禍の真っ只中で事業を始められたお二方に、コロナ禍の様子や取り組みについてお聞きしました。
>プロフィール
株式会社ナノボ
エリサベス・ヨピスさん 山口 レナさん
1. ナノボさんについて
-まずは、ナノボの事業について教えてください。
<エリさん
ナノボは、今年2021年に立ち上げたインバウンド観光コンサルティング会社です。日本の企業やお店に対して、外国人旅行客の受け入れに関する問題を解消するためのサポートをしています。具体的には、観光に関する記事制作、SNSプロモーションのサポートや通訳ガイドなどのサービスを提供しています。
ナノボの由来は、2020年に立ち上げた「Nagoya is not boring(ナゴヤ・イズ・ノット・ボーリング)」の頭文字をそれぞれ取りました。こちらは、主に欧米、カナダ、イギリス、オーストラリアをターゲットにした体験・ツアー予約プラットフォームです。名古屋を中心に、愛知県内でのナイトツアーや伝統工芸体験、フードツアーなどを掲載しています。
そして、私もレナも名古屋観光専門学校さんでガイド育成セミナーの講師を務めています。外国人ならではの視点で、日本の学生さんにガイドのキャリアに繋がるような内容をお伝えするようにしています。最近では、愛知県観光局さんの名古屋飯をテーマにした観光動画にも出演もしました!
ーどういった経緯でふたりで企業をしようとなったのですか?
<エリさん
私達は以前、それぞれ別の日本の企業で働いていました。私は前職では、日本のホテル・旅館のウェブサイト制作会社でインバウンド集客サービスに長年携わっていました。その後、2018年に愛知の魅力を発信するWebサイト「Kawaii Aichi」を立ち上げました。
<レナさん
私は以前は、東京の経営コンサルティング会社で約3年間働きました。実際に働いてみて、私には日本の会社で働くスタイルが合わないと感じ、「自分で何か始めよう!」という考えに繋がりました。
その後、2019年に名古屋のフードツアーを提供する「Nagoya Foodie」を起業し、外国人向けに名古屋飯をめぐるツアーを企画しています。自分自身でガイドもしているんですよ。
そして同年にエリと出会い、私と同じように名古屋の魅力を広めたい!という想いを持っていることを知りすぐに意気投合しました。2020年に、ふたりで名古屋の体験予約サイト「Nagoya is not boring」を開設し、2021年に株式会社ナノボを立ち上げました。
2.ナノボさんのコロナ禍の様子と取り組みについて
-2021年のコロナ真只中で起業をすることに不安はなかったですか?
<エリさん
正直不安だらけでした。
事業を始める前は、「オリンピックを機に外国人観光客が増えるだろう」「ワクチン接種が進んでいるだろう」と予想して何とかなるだろうと思っていたのですが…
<レナさん
でも逆に、この時期だからこそ良かった部分もありました!事業開始前の準備に時間を持てたことです。コロナで他の企業さんも厳しい状態がつづく中、企業同士で関係を構築に着目しました。地場の企業さんへお伺いし、自分たちが始める事業について紹介しました。
訪問させて頂いた企業さんの中で、名古屋のインバウンド層をターゲットにしたホテル「ニッコースタイル名古屋さん」では、ホテルのインバウンド向けプロモーションをサポートさせて頂くことになりました。ブログの投稿やSNSでの情報発信のアドバイスなど、今後の外国人に向けた施策を一緒に考えているところです。
-日本企業と仕事をする上で大切にしていることはありますか?
<レナさん
外国人だからこそはっきり言うことを大切にしています。少し角は立つことがあるかもしれませんが、はっきり伝えることがお客さんにとっても結論を出しやすいと思います。相手の立場も理解し、日本語で会話するように努めています。
-コロナ以降、新しく始めた取り組みなどはございますか?
<エリさん
当初考えていた事業内容は訪日外国人向けのものでしたが、コロナをきっかけに外国人に向けたサービスだけではなく、日本企業や店舗に向けたサービス内容に軌道修正するようにしました。最近では名古屋の観光に関わる記事制作やSNSマーケティングの仕事が多く、事業の大半を占めています。
3. 今後のナノボさんについて
-今後の挑戦や取り組もうとしていることはありますか?
<ふたり
めちゃくちゃあります!私達、毎日1日に10個くらい新しいアイデアを思いついているんです。
<エリさん
色々なアイデアが出る中で今取り掛かっていることは、VR Japan Theaterです。これは、日本文化をVR(バーチャルリアリティ)で体験できるアプリで、今名古屋の他の企業や観光施設と連携をして取り組んでいるところです。今ある素晴らしいものを将来にも見てもらえるように保存をして、コロナで日本へ来ることができない外国人のためにも進めていきたい事業のひとつです。
また、海外のインセンティブに向けた新しいツアー「スポーツツーリズム」も考えています。
<レナさん
あとは、日本人を対象にしたガイド講演もどんどんしていきたいよね、と言っています。去年は名古屋・有松のボランティアガイドに向けてガイド教育セミナーを開きました。10月からは静岡県の川根本町でガイド教育セミナーを行う予定です。セミナーでは、外国人をお客さんにしたガイディングのコツを伝えています。
名古屋に住んでみて、地元の方々から「名古屋には何もない」という言葉をよく聞き悲しく感じることが多かったです。私が名古屋を大好きなように、地元の方々にも名古屋に誇りを持ってもらえるよう地域の方々に向けた講演を増やしたり交流ができる機会を増やしていきたいなと思っています。
今井の一言コメント
エリさん、レナさん、この度は取材に応じてくださり本当にありがとうございました!レナさんは、以前三重県鳥羽市で開催した外国人ニーズモニター調査にも参加してくださいました。その際も、外国人ならではの着眼点で地元企業さんにと積極的にお話して頂きました。
このコロナ禍で、今後はより非接触・非対面のVRジャパンシアターや、自然を満喫するスポーツツーリズムに需要が増していくと思います。ナノボさんのこれからの活動に我々も注目していきたいです!