去年の熊本地震の際には、外国人被災者は約500人ほどで、総被災者約5万6000人のうち、約1%でした。
当時は今よりも公的機関としての多言語対応が行き届いているわけではないので、母数の少ない外国人の対応はNPOやボランティアの活動で多言語化を支えていました。
しかし、2020年に向けて、国家主導での医療現場の多言語化が動き始めたようです。今回はその内容について紹介していきたいと思います。
救急隊員に翻訳スマホ(全国)
総務省消防庁と国立研究開発法人「情報通信研究機構」は、救急現場専用の自動翻訳システムを開発した。5月にも全国の救急隊員がスマートフォンやタブレット端末を通じて利用できるようにする。救急隊員がスマホに日本語で呼びかけると、画面に翻訳された外国語が表示され、音声も流れる仕組みだ。患者が話す外国語も自動で日本語に翻訳される。英語、中国語、韓国語、スペイン語など15言語に対応する。救急現場でよく使われるやり取りについては、ワンタッチで翻訳できる。
全国の救急隊員に翻訳スマホ…外国人搬送増加で(全国)
15言語に対応の自動翻訳システム
(1)英語(2)中国語(3)韓国語(4)スペイン語(5)フランス語(6)タイ語(7)インドネシア語 (8)ベトナム語(9)ミャンマー語(10)台湾華語(11)マレー語(12)ロシア語(13)ドイツ語 (14)ネパール語(15)ブラジルポルトガル語
よくあるのは英語、中国語、韓国語ですが、これは15言語に対応しています。全国の救急隊員がこの対応ができるようになるのはすごいことです。しかし実際のアプリを見てると少し印象が変わります。
思ったよりも簡易なサービス
これだと、民間の自動翻訳の方が優れているかもしれないですね。実際に使われ始めて、アップデートでどれだけ良いものにしていけるかが鍵になりそうです。
さらに気になる部分も
今後の予定 本日、消防庁より、都道府県を通じて全国の消防本部に対して活用促進を通知し、要望に基づき順次提供を開始します。(Android 版を先行的に提供し、iOS 版は 29年度中に対応する予定)
となれば、iPadを導入している都道府県では使えない事態になるのでは?と思っていたら、案の定でした。
iPad配備の救急隊、「アプリ使えない」
今回配信を始めたのは、Android版専用のアプリだったため、iPadを使っている消防本部からは「救急隊がアプリを使えない」といった指摘が出ている。消防庁はiPadで使えるアプリ(iOS版)に関しては、「今年度中に対応する予定」としている。また、タブレット端末を救急隊に配備していない消防本部もあり、一部の地域では多言語に対応できない事態も想定される。このような消防本部が新規にタブレット端末を導入した場合、消防庁は個別にアプリに関する情報を提供し、多言語に対応可能な救急隊を増やしたい考えだ。
iPad配備の救急隊、「アプリ使えない」
タブレット端末が導入されていない地域もあるようなので、全国対応が整うのはまだまだ先のようです。
まとめ
これからも医療機関の外国人対応ニーズはどんどん増えていくことが予想されます。4000万人の外国人の対応となると、あらゆる面で対応を考える必要があるようです。これが全部整ってこそ、本当の「おもてなし」が実現できるのではないでしょうか。