中国人インバウンドに関わっている人全てにおいて、衝撃のニュースがありました。それが訪日団体ツアーを規制するというニュースです。詳しく見ていきましょう。
中国が訪日団体旅行を制限?
中国の福建省などの一部地方都市で訪日団体旅行を制限する動きが始まった。地方政府の観光当局が地元の旅行会社に対して、訪日団体旅行の取り扱いを減らすよう口頭で指導したという。
2017年9月15日、日本経済新聞電子版より
このような記事が日経新聞やTBSなどで9月中旬に情報が上がってきました。
しかし、この件について政府は制限の理由を公言していないため、記事によってさまざまでした。それぞれの理由をまとめると以下の3つに集約されるようです。
制限の理由
①元の流出を防ぐ
これは一番最初にニュースになった日経新聞やTBSが挙げていた理由です。たしかに爆買いなどで、元が大量に日本に流れています。そのため、制限をかけるというのはわからなくもないです。
②日朝間の危険度が増大している
他の記事で挙がっていたのがこちらです。ミサイル問題などでホットな話題ですよね。ただ、本当に危険回避であれば団体ツアーだけでなく、個人旅行も規制や制限をかけるべきではないでしょうか?
③違法な団体ツアーの締め出し
爆買いの中国人団体客をターゲットにし、法外な値段で買わせていたところがあったのは記憶に新しいところです。これに対抗処置として、違法な団体ツアーを排除するために個人旅行ではなく、団体ツアーだけを制限したのであれば理解できます。 今回の件では上記3つのどれかが理由になってくると思います。
今回の影響
中国は団体ツアーの割合が多い
2016年度の訪日中国人は637万人で、そのうち36%が団体ツアー客でした。そのため、もしこの制限が中国全体に広がり、1年間解除されなければ、団体ツアーの比率が今と変わらない場合は229万人に影響があります。
しかし
1、海外では個人旅行の方が一般的

日本政府観光局『平成28年における訪日外国人の消費動向』より
団体ツアーの割合では中国が飛び抜けて多く、台湾がそれに続く格好です。世界的には団体ツアーよりも圧倒的に個人旅行の方が多いのが見て取れると思います。
2、27年をピークに団体ツアーの割合下降
日本政府観光局より
過去5年間の訪日中国人の団体ツアーの割合をグラフにしてみました。27年をピークに団体ツアーの割合は下がり始めています。
3、日本政府による訪日中国人の個人客向けのビザ発行の緩和
前回記事『中国人のビザ発給要件を緩和で、地域活性化できるか』でも取り上げた通り、個人でのビザが取りやすくなっています。
まとめ
今のところ一部だけの制限なので、秋や冬の団体ツアーでは少し影響が出る恐れがあります。しかし、今後個人旅行の増加が想定できるので、特に影響はないと思っています。ただ、理由の①、②であれば、団体ツアーよりも個人旅行についても制限が出る可能性があるため、油断は禁物です。 この件についてはアドリンクでも今後も注目していくつもりです。