訪日外国人観光客が増加を続ける中、インバウンド消費はモノからコトへと移行しつつあります。その中で意外な存在が日本のキラーコンテンツになる可能性があります。それは忍者です。
忍者からNINJAへ
日本人にとっては時代劇や歴史の授業などでおなじみの忍者ですが、近代以前の日本で主に隠密活動を得意として暗躍していた忍者が今では“NINJA”として日本語のまま海外で通じるほど有名な存在となっています。
世界中で認知される忍者
日本忍者協議会が2016年にドイツ、フランス、オーストラリア、インドネシア、マレーシア、タイ、香港、台湾、中国の10か国で行った調査によると、どの国や地域においても100%に近い認知度という結果が得られたといいます。 特にアメリカでは32.5%もの人が「よく知っている」と回答した上、41.2%が「現在も多数存在している」、32.5%が「数は少なくなったが現在も存在している」と回答するなど、忍者が単なる認知度を超えた人気を獲得していることがわかります。
きっかけはニンジャ・ムービー
アメリカでは1980年代の映画「燃えよNINJA」をきっかけに始まった忍者ブームですが、その後1987年から25年にもわたって放送されたアニメ、「ティーンエイジ・ミュータント・ニンジャ・タートルズ」の大ヒットが世代を超えた忍者ファンを生み出してきました。 そして現在、忍者という単語はそのままNINJAとして英語として通じるまでになったのです。 最近ではマンガやアニメ「NARUTO」が世界的な人気となり、世界中でNINJAの認知度は上がり続けています。
忍者体験が続々登場
このように外国人にとってクールジャパンの象徴ともいえる認知度と人気を誇るNINJAを通して日本の伝統文化を知ってもらおうという試みが各地で行われています。 2018年2月には東京都内で手裏剣投げやチャンバラを体験する忍者教室が開催され、アメリカやフランスから訪日した外国人観光客がNINJA体験を楽しみました。 大阪・新今宮にオープンした忍者体験屋敷「忍者堂 Ninja-Do」ではNINJAの必須アイテムである吹矢や手裏剣等の体験をレンタルした忍者装束を着てできる他、忍者装束のままで人気の観光地としてしられる新世界やあべのハルカスへ生き、記念撮影をすることができるサービス等で訪日外国人観光客へのNINJAを通したコト消費を提案しています。
観光庁も注目するNINJA
NINJAの世界的な知名度の高さには観光庁からも注目が集まっています。2017年度の「テーマ別観光による地方誘客事業」の支援先として前述の忍者についての認知度調査を行った日本忍者協議会を選定し、NINJAを通した訪日外国人観光客の誘致に期待しています。 NINJAをきっかけとした日本文化の発信は私たち日本人にとっても新しい忍者像と正しい理解をもたらしてくれる良い機会にもなりそうですね。