日本の夏を楽しむ上で注意しなくてはいけないのが熱中症です。
以前の記事でも指摘した通り、高温に加えて湿度が非常に高いのが日本の暑さの特徴で、訪日する外国人観光客の中には日本のような高温多湿な夏の気候に慣れていない人も多いため、熱中症について認知されていないことが考えられます。
熱中症の予防や対策についての取組みがどのように行われているか、見ていくことで自分達でもできる熱中症対策について考えてみませんか?
熱中症とはどのような症状?
熱中症は、身体の中の水分や塩分のバランスが崩れたり、体の調整機能の働きが鈍くなったりことによって起きる症状ですが、鋭い頭痛やめまい、吐き気、立ちくらみ、倦怠感などの自覚症状が典型的ですが、暑い場所にいるにも関わらず汗をかかない、肌が熱を持って乾燥する等の症状も熱中症の場合があります。
外国人観光客への熱中症対策
訪日外国人の7割が熱中症を経験
2017年に日本気象協会が在留外国人200人を対象に実施した調査によると、7割を超える熱中症を経験したという回答が得られました。
熱中症対策の事例
「熱中症ゼロへ」プロジェクト
訪日外国人に熱中症に対する認知度を上げることが重要と考え、日本気象協会は「熱中症ゼロへ」プロジェクトを通して啓発を行っています。 「熱中症ゼロへ」プロジェクトの概要は以前の記事でも触れていますが、下記のようになっています。
- ウェブサイト 「熱中症ゼロへ」英語版を通した周知活動
- 熱中症対策をまとめた英語版リーフレットの配布
和傘の無料貸し出し
2016年から始まった和傘の無料貸し出しは熱中症の予防と周知という実効性もさることながら、和傘という外国人にとってアピールしやすい「インスタ映え」する要素を使うことでSNS等での情報拡散によるプロモーション効果も期待することができます。 2018年は「豊島区立 目白庭園」、「文京区立 肥後細川庭園」、「ホテル椿山荘東京」の3施設にて和傘の無料貸し出しを実施予定です。
氷のオブジェで熱中症予防を啓蒙
環境省が主催する『7月の熱中症予防強化月間』啓発活動ですが、渋谷、梅田、名古屋と全国3カ所のロフトに「氷のオブジェ」を設置し、氷を使った熱中症の予防法を紹介します。 見て楽しいオブジェで涼しげな演出を行いながら、英語版リーフレットを配布し、暑さ対策グッズのプレゼント企画も予定しています。
東京オリンピック・パラリンピックは対策必至
2020年に控える東京オリンピックの開催期間は7月24日~8月9日、パラリンピックは8月25日~9月6日となっており、政府は暑さが厳しい中でのオリンピック運営には選手や観客への暑さ対策を急務の課題と位置付けています。 マラソンのような屋外競技については路面温度の上昇を抑える対策を予定している他、沿道の観客に対しても日陰を作るように街路樹を剪定する等の対策を検討しています。 また、厚生労働省は医療機関の外国人患者受け入れの体制を強化し、熱中症になった場合のケア体制の準備を行い、観光庁は外国人が受診しやすい医療機関の情報提供の強化を予定しています。
まとめ
今回は気象庁主導の熱中症対策とオリンピックへ向けた取り組みを紹介しましたが、和傘の貸し出し等の対策は花火大会や夏祭り等、全国各地でのイベントでも地元の文化を代表する名産品を使ってプロモーションを兼ねて実施できるのではないでしょうか? 日本で生活する私達でも熱中症には注意が必要なほど厳しい日本の夏ですが、熱中症対策をきちんと行い外国人観光客に日本の夏を快適に満喫してもらいましょう。