平成28年に行われた外国人旅行者を対象としたアンケート調査によると、訪日旅行中に困ったこととして2位に「無料公衆無線LAN環境」が挙げられており、28.7%が困ったこととして認識していました。
インバウンド対策として公衆無線LANサービスの拡充の必要性が挙げられていますが、日本における公衆無線LANサービスの現状を見ていくことにします。
2018年度の利用者数予想は5,746万人
ICT総研が行った公衆無線LANサービス(公衆Wi-Fiサービス)市場についての調査結果によると、2018年度の公衆無線LANサービスの利用者数予想は5,746万人で、前年と比較して17%増加となりました。 内訳は訪日外国人が1,502万人、個人利用者が3,793万人、ビジネス用途での利用者が451万人となり、全体の26%がインバウンドによる利用という予想です。 個人利用者が多い背景として、スマートフォンの通信料金を節約するために低価格・小容量のプランに加入するユーザーが増加があるとし、公衆無線LANサービスを利用することで通信料を節約するニーズが高まっているという分析が行われました。
Wi-Fiの満足度ランキング
通信事業者の満足度ランキング
では、通信事業者が提供している公衆無線Wi-Fiサービスの満足度について見ていきましょう。 結果は以下の通りです。
1位 docomo Wi-Fi 61.7ポイント
2位 ソフトバンクWi-Fiスポット 58.6ポイント
3位 au Wi-Fi Spot 57.0ポイント
それぞれが獲得したポイントに大きな差はなく、横一線といってもいいのではないでしょうか? 上記通信事業者3社以外が提供しているサービスで比較すると以下のようになります。
通信事業者以外の満足度ランキング
1位 スターバックス(at_STARBUCKS_Wi2) 64.9ポイント
2位 羽田空港(HANEDA-FREE-WiFi) 63.4ポイント
3位 イオン(イオン Wi-Fi) 54.6ポイント
スターバックスの公衆無線LANサービスは無料で利用できるのはもちろん、会員登録等が不要であるという点も利便性の高さにつながっていると思われます。
利用場所ランキング
次に公衆無線LANサービスを利用する場所について見ていきましょう。
1位 カフェや飲食店 49.4%
2位 コンビニ・ショッピングセンター 40.5%
3位 駅・空港・サービスエリア・パーキングエリア 36.1%
1位にカフェや飲食店が来ていますが、ほっと一息つくことができる時間にスマホをチェックしたりするニーズがあるということが考えられます。 また、食事の写真を撮影してInstagramやFacebook等、各種SNSに投稿するという楽しみ方もカフェや飲食店で公衆無線LANサービスが1位になる理由の一つではないでしょうか。
カフェや飲食店が出来る最も簡単なインバウンド対策
日本を訪れる訪日外国人観光客のほとんどは日本の文化に大きな興味を抱いており、風景や食事の写真を撮影して頻繁にInstagramやTwitter、Facebook等のSNSに投稿しています。 SNSを経由した情報の拡散はリアルな口コミ情報として大きな宣伝効果を持っています。 しかし、楽しみにしていた日本の食事を前にしてテンションも上がったとしても、インターネットに接続できなければせっかく撮影した写真をアップすることができません。これはカフェや飲食店にとって機会損失以外の何物でもありません。 無料でWi-Fiが利用できることをしっかり店内でアピールし、SNSへの写真UPで割引やサービス提供などの仕掛けを行えば更にSNSを経由した宣伝が出来るようになります。カフェや飲食店は公衆無線LANサービスの設置が必須ではないでしょうか。
まとめ
公衆無線LANサービスといえば行政サービスの効率化のインフラとして無料Wi-Fiを導入したスペイン・バルセロナの事例が有名ですが、旅行者がいつでも無料でインターネットに接続できるようになっただけでなく、行政の効率化に成功した結果、30億ドルの価値を創造したと言われています。 これは行政による公衆無線LANサービスの拡充の一例ですが、上に挙げたカフェや飲食店のケース等、民間が公衆無線LANサービスを提供することはインバウンド対策として大きな効果が期待できます。