2020年にインバウンド人口4000万人が政府の目標として掲げられていますが、ここ数年は右肩あがりでインバウンドは増加しています。
そんな中、国別インバウンド人口の1位は隣国、中国人観光客となっています。日本を訪れる外国人は増加していますが、中でも最も多いのが中国人です。2017年度の訪日外国人観光客の総数が約2,869万人、そのうち中国人は約735万人と約4分の1を占めています。
中国人の購買力
単純に人数だけでも影響力が伺い知れますが、2017年の1人当たりの旅行支出も中国人が1位で約23万円、そのうち約11万円が買い物代となっていることからもいかに中国人観光客の動向を理解するか、という点が小売やサービス業者にとって重要になっているということがわかりますね。 そのうちの1つがモバイル決済の導入です。
2018年はQR決済元年になる?
中国ではスマートフォンでQRコードを読み込む形で行われるモバイル決済が数年前から爆発的に普及し、あらゆる場面がキャッシュレスになりつつあり、テンセント社が提供するWeChatPay、アリババグループが提供するAlipayの2つが標準的なモバイル決済システムとして鎬を削っています。 訪日する中国人観光客にとっては、この2つのどちらかがそのまま日本でも利用できれば人民元を日本円に両替するよりも安いレートで中国と同じようにスマートフォンだけで決済が行えるということになり、利便性がぐっと上がります。
日本人に馴染みのある会社も続々
LINE PayがWeChatPayと提携
LINE Pay(株)は中国2大モバイル決済の1つ、WeChatPayと提携し、2019年から自社が提供するモバイル決済、LINEPay加盟店でWeChatPayでの決済が可能になります。 WeChatPayユーザーは新たなアプリ等をダウンロードすることもなく、そのままWeChatPayでの決済ができます。
PayPayはAlipayと提携
中国2大モバイル決済のもう1つ、Alipayはソフトバンクとヤフーの合弁会社・PayPayと提携を発表、この秋から中国人観光客はPayPay加盟店でAlipayを使ったモバイル決済が可能になります。 PayPayは12月4日から「100億円あげちゃうキャンペーン」を開始、PayPayで決済することで支払額の20%をPayPayボーナスで還元する他、40回に1回の確率で支払額の全額をPayPayボーナスで還元する、という内容で話題となっています。 日本国内でのQRコードを活用したモバイル決済はLINE Pay、PayPay以外にも楽天ペイ、Origami、d払い等、多数の会社が参入していますが、Alipayとの提携と今回のキャンペーンでPayPayが一歩先行したという印象です。
まとめ
中国でモバイル決済が普及した理由について、偽札が多い説等がまことしやかに言われたことがありますが、実際に上海に住み、モバイル決済が普及していく様子を体感した筆者としては単純に便利だから、ということに尽きると思います。現金を持ち歩かず、お釣りもなく、個人間のお金のやりとりもできる、というモバイル決済は想像以上に便利です。 モバイル決済が普及するためには加盟店が増えなくてはいけませんが、Alipay、WeChatPayともにクレジットカードのような読み取り端末も必要なく、ユーザーがQRコードをスキャンする形であれば決済手数料が無料だという点が大きかったはずです。 日本でのQRコード決済システムはいずれも3.2%程度の決済手数料がかかるようですので、この点を小売店がどうとらえるか、というのが全国どこでもキャッシュレスの実現に大きく影響するのではないでしょうか?