2025年の国際博覧会はライバルを抑え、大阪が55年ぶり2度目の開催地に選ばれました。
地元の商店主や関係者はインバウンド増や見込まれる経済効果に期待していますが、同時に巨額の公費投入等の懸念の声も上がっています。
今回は大阪万博のメリット、デメリットとインバウンド増について見ていきましょう。
政府予想の経済効果は約1兆9千億円
大阪万博による経済効果の予想は政府を含め、各シンクタンクも予想を出しています。 それぞれの予想は以下の通りになります。
・政府予想 1兆9千億円
・りそな総研予想 2兆2千億円
・日本総研予想 2兆6千億円
大阪万博による経済波及効果をどこまで含めるか、という解釈の違いが金額の差に反映されているということのようですが、日本総研の予想は2024年にIR(カジノを含む統合型リゾート施設)が開業するとして、IRでの収益を経済波及効果に厚めに見込んでいることが政府予想よりも大きな予想になっている理由のようです。 いずれにしても2兆円前後の経済波及効果、というのは共通の見解として捉えてよさそうです。
政府の予想する経済波及効果の内訳は?
経済産業省の報告書には大阪万博を開催することによる経済波及効果の内訳がありますので、確認しておきましょう。
・入場者規模(想定):約2,800~3,000万人
・会場建設費(想定):約1,250億円
・経済波及効果(試算値):建設費関連約0.4兆円、運営費関連約0.4兆円、消費支出関連 約1.1兆円
入場者規模として2800万人から3,000万人とされていますが、入場チケットが現状4,800円と設定されているので、2,800万人の来場とした場合にチケット収入が1,344億円となりますので、会場建設費の1,250億円はチケットによる収入でカバーすることができそうです。 その他、会場周辺を中心としたインフラ0.4兆円、運営費0.4兆円、消費支出関連1.1兆円という試算になっています。
期間中のインバウンドは300~350万人?
大阪万博の開催期間は2025年5月3日~11月3日の185日間になりますが、その間のインバウンド需要には大きな期待が集まっています。 三菱UFJリサーチ&コンサルティングは2017年に関西を訪れた外国人は1207万人と全国の4割を占めており、インバウンド消費額は1兆円を超えると推計され、インバウンドによる入場者は350万人を占めるとしています。 また、りそな総研ではインバウンドよる来場は300万人と想定、うち万博が目的で訪日するのは140万人と推計しています。万博だけではなく周辺観光地での消費を見込むことが出来そうですね。
大阪万博のメリット・デメリット
このように期待が集まる大阪万博ですが、開催にはメリットもデメリットもありそうです。
大阪万博開催のメリット
・会場建設費、インフラ整備等の経済効果
・会場内外での消費
・日本の海外での認知度向上
・大阪以外へのインバウンド誘致のきっかけ
なんといっても経済効果は大きなメリットです。海外からの注目を集められるでしょうから、海外に改めて日本を認知してもらう機会にもなり得ますし、大阪万博をきっかけとして地方をプロモーションし、インバウンドの誘致という流れを作ることができれば経済効果を日本全体に波及させることが出来そうです。
大阪万博開催のデメリット
・会場建設費の負担
・維持費の負担
・人手不足
・IRによる治安悪化
デメリットとして挙げられるのが会場建設費の負担(国、自治体、民間で分担)が大きいという点や開催期間が終わった後の維持費をどうする、という問題が懸念されていますが、万博会場となる夢洲に建設が計画されている夢洲IRによって継続的な収益を挙げられるという意見もあります。 しかし、カジノを含むIRでの収益が期待できる反面、ギャンブル依存症の問題や治安の悪化等、ケアすべき問題は確実に増加しそうです。
まとめ
大阪万博開催は2020年に開催される東京オリンピック・パラリンピック以降の最大級のイベントとしてインバウンド需要の喚起という意味でも大きな期待をすることができますが、この機会を有効に活用し、特殊なイベントに頼らずコンスタントにインバウンドを誘致できる日本になるための努力をしていくことが重要です。