多くの訪日外国人が訪問している大阪ですが、大阪城やB級グルメ、京都にも近く日本の文化を存分に楽しめる都市と言えるでしょう。
その大阪ですが、インバウンド増によって町そのものに変化が訪れています。
あいりん地区がインバウンド増で治安改善
大阪市西成区のあいりん地区といえば日雇い労働者が集い、薬物犯罪等が日常的に行われているという負のイメージが強い地区として知られていました。 しかし、同地区を訪れるインバウンドの増加等に伴い平成26年度からスタートした西成区の治安改善事業の結果、治安は改善に向かっています。 同事業は5年間の間に大阪府が約4億6千万円の予算を計上し、防犯カメラの増設や交番の移転、拡充等を行ってきましたが、違法薬物やごみの不法投棄、違法露店等の摘発が急増、以降は発生件数抑止されています。 本来は今年度で終了する予定だった同事業は最長5年間の延長が決定し、今後予定されている大阪万博や好調なインバウンドの増加を受け、治安対策もさらに重要になってきます。
関西地区はインバウンド消費が好調
2018年1-3月期のインバウンドの都道府県別訪問率でトップの大阪府は訪問率39.1%と訪日外国人観光客の約4割が大阪を訪問しているという人気振りです。 日銀のデータによりますと関西2府・4県の2017年度のインバウンド消費額は前年比1927億円増と大幅な伸びを示し、人口減によって減少した消費支出の633億円を上回っています。 人口減による経済のシュリンクに関して悲観的な予想が多い中、関西地区についてはインバウンド消費の好調が経済をむしろ拡大しているという状況です。
大阪以外も人口減をインバウンド消費でカバーできる?
日本の総人口は減少傾向にあり、2055年には1億人を割る9744万人になると予想されていますが、総務省の2015年の家計調査では定住人口1人が1年間に消費する額は平均でおよそ125万円とされています。 これを補うための一つの方策として挙げられているのがインバウンド消費の獲得になりますが、同じく2015年のインバウンド1人あたりの消費金額、およそ17万6千円で穴埋めするとしたら定住人口1人をインバウンド8人で穴埋めすることができるという計算になります。 関西2府・4県について言えば人口減による消費減をインバウンド消費がしっかりカバーできてお釣りが来ていることになりますが、最近ではインバウンド人口は伸びているものの1人当たりの消費額については減少傾向にあると言われており、将来に渡って継続的にインバウンド消費によって人口減をカバーし続けられるかどうか、楽観視することはできません。 また、インバウンドの訪問地にもバラつきがあり、大阪、東京、京都等に集中する傾向があるということも考慮する必要がありそうです。
まとめ
事例で取り上げた大阪を中心とした関西エリアはインバウンド増によってあいりん地区の治安が改善したり、人口減を上回る消費を得る等、インバウンドによって様々な変化が起きています。 大阪は関西国際空港が西日本の窓口としてある他、観光資源にも恵まれていますが、このようなインバウンドの恩恵を享受するためには地方によってはしっかりとしたプロモーション、Wi-fiや、案内表示の外国語対応等の環境整備を推進し、インバウンド誘致を具体的に進める必要があります。 簡単ではありませんが、大阪を見るとインバウンド増は町自体を変えるインパクトを秘めています。