日本が観光立国として成立するためには将来に渡って訪日外国人観光客をコンスタントに獲得する必要がありますが、そのためには訪日体験を快適なものとしてリピーターとなってもらうということが挙げられます。
そこで検討されているのが外国人患者に対応できる病院の整備です。
外国人患者に対応可能な医療機関の整備が進む
インバウンドの急増に伴い、訪日中に健康を害してしまう訪日外国人へのケア体制も必要とされていますが、 厚生労働省によると外国人患者への対応が可能な医療機関の整備を今年度中に整備する方針です。 整備の対象となる医療機関は重症患者(入院が必要)を受け入れ対象とした救急病院と、軽症者を対象とした医療機関の2種類とし、少なくとも382カ所となる見通しです。
多言語対応が対象医療機関の要件
重症患者を対象とした医療機関の整備は都道府県ごとになり、軽症者が対象の医療機関は現在全国に335ある医療提供の地域単位・2次医療圏ごとに1カ所以上となり、軽症者に対応する医療機関は診療所や歯科診療所でもよいとしていますが、要件として多言語対応があげられています。 多言語対応の手段は医療通訳者、タブレット端末等を活用した翻訳、テレビ電話通訳等が考えられますが、特に問わないとされています。 現状、ほとんどの医療機関では多言語対応できていないため、厚労省は今年度財政支援を手厚くする方針で、一部の拠点には医療通訳者の配置の助成等を進める他、希少な言語に対応できる遠隔通訳も試みる予定です。
医療費未払い問題はどう対策する?
一方、インバウンドによる医療費未払い問題が顕在化しています。 2015年に厚生労働省が行った調査ではインバウンドや在留外国人に「未収金がある」と全国1300の救急病院のうち486病院が回答しています。 原因の一つとして訪日客の約30%が旅行保険に加入していないことがあげられています。 政府も自民党によるプロジェクトチームを中心に訪日客の医療費未払いに対して対象者の再入国の拒否などを盛り込んだ提言案をまとめる等、対策を進めていく意向ですが、インバウンドへの適切な医療の提供と同時に医療費未払問題についての実行性のある対策が必要とされています。
まとめ
医療費未払問題の解決方法として、訪日客への旅行保険の加入促進、医療費の前払い等による医療機関での自衛等が挙げられる他、大手損害保険各社は訪日客に向けて保険商品の販売を強化しています。 しかし、現状では医療費未払い問題を解消するための決定的な対策があるとは言えず、医療機関が泣き寝入りするという構図がなくならなければ採取的には国民が負担するということになってしまうことを考えれば、より現実的で強制力が発揮されるような医療費未払対策が必要でしょう。