インバウンドの訪問する観光地といえばいわゆるゴールデンルートに集中していましたが、近年は地方を訪れる訪日外国人観光客も増えています。
今回は楽天トラベルの調査による、前年との伸び率を元にしたランキングを見ていきます
2018年のインバウンド人気上昇都道府県
楽天グループが運営する旅行予約サービス、楽天トラベルは「2018年 訪日旅行(インバウンド)人気上昇都道府県ランキング」を発表しました。 集計期間は2018年1月1日~2018年12月31日の1年間となっており、楽天トラベルの外国語サイト経由の人泊数をもとにして前年同期比の伸び率でランキングを作成しています。 ランキングの1位から5位までは下記のようになっています。
1位:鳥取県 前年比 189.6%
2位:福島県 前年比 184.6%
3位:岩手県 前年比 139.4%
4位:新潟県 前年比 138.1%
5位:山形県 前年比 130.9%
1位 鳥取県は前年3位からランクアップ
1位の鳥取県は、近年特に外国人旅行者が増加しており、前年も3位にランクインしていました。 鳥取県にインバウンドが増加している要因の一つが米子-香港便の就航です。これによって香港からの送客が出来るようになったのは大きいと思われます。その米子は「米子鬼太郎空港」、もうひとつの空港は「鳥取砂丘コナン空港」とどちらもアニメにちなんだネーミングとなっており、インバウンド層の多くが認知している作品だけにアピールも十分です。 鳥取砂丘を活かしたアクティビティや送客の足を確保 鳥取県を訪れるインバウンドが増えているのは国際線の就航だけが要因ではありません。 鳥取砂丘ではパラグライダーや砂の上でも走れるファットバイクなどのアクティビティの充実を図り、集客を伸ばしている他、鳥取市は昨年からインバウンドを対象として鳥取-大阪間の高速バスを割引するキャンペーンを実施し、送客手段を確保しています。 また、鳥取県と隣県の島根県は両県に跨る観光周遊ルート「縁の道~山陰~」を紹介するウェブサイトを公開、日本語を含めると8か国語に対応し、海外へのアピールを続けています。 このような活動の成果が出ていると言えるのではないでしょうか。
2位 福島県はSNSで人気
2位の福島県は、2011年の震災以降、風評被害等で観光客の伸び悩みが見られましたが、大きく伸びを見せました。会津若松・喜多方エリアが特に人気となっており、最も人気が集まりました。会津若松駅と新潟県の小出駅を結ぶJR只見線が中国や台湾、タイ等のSNS上で話題になっています。 また、福島・二本松地区は桜の名所として近年注目を集めています。
3位 岩手は台湾からの訪日客が強い
3位に入った岩手県の特徴として台湾からの訪日客が多いことが挙げられます。 要因としてはいわて花巻空港と台湾の桃園国際空港間に定期便が就航したことが考えられます。エリア別では安比高原・八幡平・二戸エリアが約5.5倍と高い上昇率を記録しています。安比高原にはスキー場があり、いわて花巻空港からバスを使って1時間半程度とアクセスが良好な点が集客力に繋がっています。温暖な気候の台湾からの訪日客にとってスキー場は高い人気を集めるのはもちろんですが、スキーができなくても楽しめるようにソリやチューブ滑りが楽しめるエリアを拡充したり、多国籍のスタッフによる多言語対応にも取り組むなど、観光開発にも積極的です。
まとめ
今回のランキングはあくまでも伸び率によって作成されたものなので、前年の数字が小さければ少しの増加でも伸び率は大きくなるという側面があります。 単純な人泊数でいえば東京、大阪、北海道といった観光地がランキングの上位に来ることになります。しかし、鳥取県をはじめこのランキングの上位に入った都道府県はいずれもLCCの誘致や観光開発をしっかりと推進していることがわかりますね。