日本が世界に発信するコンテンツで高い評価を得ているものと言えばアニメですが、アニメの舞台を旅行するいわゆる聖地巡礼はインバウンドにも人気となっています。
バスケットボールをテーマにした人気アニメ、「スラムダンク」は中国でも大人気となり、舞台になった湘南周辺は多くの中国人観光客が訪れることで知られています。
今回はアニメをきっかけとしたインバウンド誘致の動きについて見ていきます。
高野山をアニメで紹介
和歌山県の世界遺産・高野山は真言密教の聖地として知られていますが、国内外にその魅力を発信しようとアニメが制作され、3月9日に日本橋ストリートフェスタでその一部が上映されました。 20歳のフランス人女子大生が主人公のアニメ、「はじめましての高野山」は訪日旅行で知り合った高野山の住職らとの出会いを経て高野山の魅力を体験するというストーリーですが、全6話が南海電鉄の海外向けウェブサイト等で配信される予定になっています。
コスプレ人気は世界に広がる?
アニメそのものだけではなく、コスプレなどのアニメから派生した文化も海外からの注目を集めています。 3月9日に開催された日本で最大級のコスプレイベント、「日本橋ストリートフェスタ」はフランスのポップカルチャーイベント、「Japan Expo」と連携、ヨーロッパの有名コスプレイヤーも参加した国際交流の場となりました。 両イベントの連携は大阪観光局がヨーロッパからのインバウンド誘致につなげようと呼びかけたことで実現したものですが、イベント参加者によるSNSへの投稿などをきっかけにプロモーション効果が見込めそうです。 「日本橋ストリートフェスタ」参加のために来日したのは「Japan Expo」のコスプレコンテスト優勝者など4名で、3月9日のステージやパレードに参加する等、イベントを盛り上げました。
政府も推進するアニメツーリズム
アニメをきっかけとしたインバウンド誘致は政府もアニメツーリズムと称し、大ヒットした映画「君の名は」を事例として作品の舞台となった飛騨・高山エリアと東京エリアの連携などを実証調査事例として紹介しています。 ここで焦点が当てられているのは聖地巡礼による地方への集客・送客だけではなく、その先にある地方の観光資源への誘客と消費の重要性です。 そのためには具体的なプロモーションの方法やマネタイズをどのように行うか、地域観光資源との連携をどのように設計するか、といった問題と受け入れ側の体制の整備が必須です。
まとめ
冒頭で触れた「スラムダンク」の聖地巡礼はアニメ作品のヒットによって自然発生したもので、はじめからインバウンド誘致や地域への誘客を狙った結果ではありません。同様の効果が期待できる作品を狙って作り出すのは簡単なことではなく、多数のステークホルダーが絡む大きな話になることでしょう。 インバウンド誘致をしたい地方が身軽に出来そうなのはアニメや漫画作品など、地元が舞台となっているものや小道具などが地元の観光資源に絡むものに対するアンテナを常に立て、マネタイズするための工夫と海外へ向けたプロモーションではないでしょうか。