5月になると夏を思わせるような気温の高い日が続くことがありますが、日本の夏を過ごす上で注意が必要なのが熱中症です。
高温かつ多湿という日本の暑さに慣れていない訪日外国人は多く、熱中症についての正しい知識と対策が必要です。
「熱中症予防声かけプロジェクト」が行ったアンケート結果は?
環境省と官民一体で取り組んでいる熱中症予防を目的とした「熱中症予防声かけプロジェクト」 が昨年6月から7月にかけて行ったアンケートの結果から、熱中症についての国内外での認知度を見ていきましょう。 アンケートの対象は日本国内の方(以下国内、と表記)が680名、海外からの訪日客(以下海外、と表記)が87人となっています。
熱中症の認知度は?
国内の92.2%が熱中症を知っている、と回答したのに対し、海外は54.0%が知っている、29.9%が言葉は聞いたことがあるという回答をしています。
熱中症の予防、対策は?
国内の69.1%、海外の70.1%が熱中症の予防・対策をしていると回答しており、最も取られている対策は水分補給(国内:92.3%、海外85%)で、次に多かった回答が適度に休む(国内:52%、国外53.8%)という結果が出ています。 熱中症予防声かけプロジェクトが推進している熱中症予防5つの声かけ:飲み物を持ち歩こう、温度に気をくばろう、休息をとろう、栄養をとろう、声をかけ合おうを更に推進し、熱中症の予防策として水分補給以外の方法があることを認知させることで熱中症の予防が可能になります。
暑さ指数:WBGTとは?
暑さ指数とはWet Bulb Globe Temperatureを略してWBGTとも呼ばれ、1954年に熱中症予防を目的としてアメリカで提案された指標です。 単位は気温と同じ摂氏度(℃)ですが、その値は気温とは違い、人体と外気との熱のやりとり(熱収支)に着目し、①湿度、 ②日射・輻射(ふくしゃ)など周辺の熱環境、 ③気温の3つを取り入れています。 この暑さ指数に関しては言葉も内容も知っているという回答は国内17.5%、海外12.6%に留まり、国内外ともに認知度がかなり低いと言わざるをえない結果となっています。
環境省は熱中症対策の普及啓発をサポート
環境省では熱中症予防情報サイトを開設し、熱中症の認知や対策の普及・啓発を進めていますが、企業や団体が自由に使用できる普及啓発資料がダウンロードできるようにしています。 昨年の記事でも紹介しましたが、気象庁でも熱中症ゼロへ、題したウェブサイトを通して熱中症の啓蒙を行っています。 この2つのサイトはいずれも英語版も用意されていますが、中国語、韓国語などへの対応も待たれるほか、サイトそのものを訪日外国人に認知してもらう必要もありそうです。
まとめ
日本の夏を楽しむためには熱中症を正しく対策、予防することが重要ですが、今回のアンケートを見る限りではまだまだインバウンド向けの熱中症対策を普及させる必要があることがわかります。 2020年の東京オリンピックでは開催期間の気温が問題視されていますが、具体的かつ有効な対策が見えてこないという問題も抱えています。 多数のインバウンドが訪れるビッグイベントを活かすためにも官民を挙げた熱中症予防の啓蒙を実効性のある形で実施していくことが求められています。