旅行先に求められる条件は人によって様々ですが、今回は旅行、インバウンドに限定したものではなく、もっと広義で捉えらた世界の都市のランキングを見ていきます。
世界の都市総合力ランキングとは?
森記念財団 都市戦略研究所がまとめている世界の都市総合力ランキングは世界主要都市の「総合力」を経済、研究・開発、文化・交流、居住、環境、交通・アクセスの6分野に渡って評価、順位付けするものですが、都市の持つ人や企業を引き付ける磁力はこのような要素の総合的な力によって生み出される、という考えが元になっています。
ランキング上位は昨年と変わらず
では、さっそくランキングを見ていきましょう。 11月19日に発表された2019年版のランキングの上位は以下の通りとなっています。
1位 ロンドン
2位 ニューヨーク
3位 東京
4位 パリ
5位 シンガポール
上位5都市は昨年と順位の変動はありませんでしたが、ロンドンは2011年から8年連続で1位をキープ、東京は2016年以降3位を4年連続でキープしています。 相対的な順位の変化はないものの、全ての都市が総合ポイントを落としています。
東京の強みと弱みとは?
同ランキングでは東京は総合力が非常に高い都市であるとしている反面、圧倒的に強い分野や極端に弱い分野もなく、バランス型の都市という傾向が以前にも増して強まっていると指摘しています。
東京の強み
・ホテル客室数が非常に多い
・食事、買い物が魅力的
・インバウンド数の多さ
インバウンド増が年々過去最高を更新しているという現状や東京オリンピック開催などの要素が文化・交流分野でのスコア向上に貢献していると考えられます。
東京の弱み
弱みとして挙げられたのは以下のような点でした。
・ハイクラスホテル客室数
・美術館、博物館が少ない
・劇場、コンサートホール数が少ない
・ナイトライフ充実度が低い
以前から指摘されている点が弱みとして挙げられています。いわゆる5つ星ホテルのような施設の少なさ や美術館、博物館、劇場等の少なさは富裕層のもてなしという点で不足が出る可能性を示しています。 ちなみにランキング1位のロンドンの現代美術館は夜23時までオープンしていることを考えると美術館、や博物館というハードウェアの不足という側面の他にオープン時間というソフトウェアの問題も併せて考慮する必要があるでしょう。 また、以前紹介したナイトタイムエコノミーの記事ではインバウンド向けのバーホッピングツアー等を紹介していますが、まだ開拓の余地が大きい分野だということがわかりますね。
1位のロンドンは文化・交流分野で高い評価
分野別に見てみると総合1位のロンドンは文化・交流分野で382.7点と高いスコアを得ている他、経済で2位、研究・開発で2位、交通・アクセスでも2位となっています。 総合2位のニューヨークは経済、研究・開発で1位となっている他、文化・交流でも2位となっているのですが、居住に関して31位となっている点が総合スコアに響いていますね。 総合4位のパリはニューヨークがスコアを落としている居住分野について1位となっている他、交通アクセスについても1位を取っています。
まとめ
今回のランキングからインバウンド集客、というところに目を向けてみると、日本のインバウンド向けの商品づくりは万人向けのものが多く、多くの人が対象となって楽しめる反面、経済的に余裕がありお金を使ってもゆっくりとした旅を楽しみたい、というニーズには対応していない場合が多いのではないか、と思います。 今回のランキングで指摘された東京の弱み、という点についてはインバウンド集客が右肩上がりで伸びている今、最大公約数を狙うのではなく、ハイクラス向けを想定した旅行商品などを充実させることで改善が可能ではないでしょうか?