訪日外国人観光客が各観光地を訪ねるルートをモデル化したものが観光ルートと呼ばれるものですが、一部の観光地に観光客が集中する傾向を受け、新たな観光ルートを紹介することで地方への送客を行い、インバウンド人口を分散すること
観光ルートとは
観光ルートは元々は1963年に制定された観光基本法をベースにしており、「国際観光地及び国際 観光ルートの総合的形成」を目的に定められた周遊10ルートと縦貫2ルートを示したことから始まっています。 近年は観光立国を目指す日本は国際競争力の強化を視野入れつつ、受入体制の強化も目的の一部とした総合的な取り組みが必要とされており、国際観光ルートの形成が進められています。
人気の観光ルート一覧
訪日外国人観光客にとって人気のある観光ルートはいくつかありますが、代表的なものを4つ紹介していきます。
①ゴールデンルート
訪日観光と言えばまずゴールデンルートですね。 東京、箱根、富士山、名古屋、京都、大阪という5大都市を周遊するこのルートは有名な地域を効率的に見て回ることが出来るため、旅費を節約しながら短い日程でも多くのスポットを見て回ることができるというメリットがあります。 その反面、デメリットとしてゆっくりしたペースで観光をすることが難しくなるということがあります。 このゴールデンルートで日本をまわることで、大都会、自然、そして歴史を体感でき、日本の「おいしいところ」を満喫できるので、人気のあるポピュラーなルートです。
②ダイヤモンドルート
インバウンド誘致を目的に福島県が新たに提唱したのがダイヤモンドルートです。 東京を起点に栃木と茨城、福島3県を周遊するダイヤモンドルートには鶴ヶ城、会津漆器、安達太良山、猪苗代湖、男体山や華厳の滝、日光東照宮、芦ノ牧温泉、会津鉄道等、観光資源に恵まれており、素晴らしいコト消費の提案が可能です。 地元のテレビ局などが協力して制作したプロモーション動画はYouTubeで世界に配信され、配信から2週間で1100万再生を超える反響を呼びました。
③新ゴールデンルート
京都―広島―松山と瀬戸内海をめぐるのが新ゴールデンルートです。 このルートは松山市が提唱する観光戦略、「瀬戸内・松山構想」に基づいて、広島地域との連携を進める中で旅行会社他の関連企業とタイアップしながら観光・旅行商品の開発を進めてきたものです。 2013年に行われた訪日旅行商談会で観光庁が国策ルートとして承認されることになりました。 新ゴールデンルートの人気に一役買っているのが「松山・広島割引きっぷ」で、京阪神から広島・呉まで新幹線と在来線を乗り継ぐ他、呉港と松山観光港を最短54分で結ぶスーパージェットを利用し、帰りは松山から特急「しおかぜ」、岡山からは新幹線で京阪神へ戻ってくるというルートを作ることができ、同じルートの往復はできませんが3日間周遊乗り放題が付いていて料金も安く、利用しやすいというメリットがあります。 ヨーロッパからの訪日外国人観光客には広島の人気が高く、新ゴールデンルートによって瀬戸内海クルーズや温泉訪問等の提案ができると関係者は期待を寄せています。
④サムライルート
日本人にとってはあまり耳にすることのない「サムライルート」という呼称ですが、ヨーロッパ圏を中心に日本への旅行を検討する外国人観光客にはとても有名です。 このサムライルートは名古屋市、または長野県松本市から岐阜県高山市を通り、金沢へと抜けるルートを指していて、ヨーロッパの一部の旅行会社で紹介されたことがきっかけとなり認知されるようになりました。 サムライルートは奥飛騨温泉郷や世界遺産としても有名な白川郷等、歴史情緒を味わうことができる他、ゴールデンルート等と比較すると人も少ないので落ち着いた旅を楽しめるという点も人気の理由です。 東京方面からも関西方面からも東海道新幹線で名古屋まで移動し、ワイドビューひだに乗って高山で下車、と交通網も整備されています。
海外へ向けた各ルートの認知度向上がカギ!
観光庁は広域観光周遊ルート形成計画について認定を行い、平成29年4月11日に今回紹介した新ゴールデンルートを含む11のモデルコースを公表しています。 それぞれのルートの海外における知名度にはバラつきがあるようですが、ダイヤモンドルートの様に地方発信のルート提案でもプロモーション次第で世界から注目を集めることも可能です。 地方発の新ルートやコト消費の提案・発信等、まだまだ知られていない日本の魅力を海外に伝える余地は残っています。
参考
http://www.shimotsuke.co.jp/news/tochigi/local/news/20180513/3054501