訪日外国人観光客に利便性を提供するための試みは様々な分野で行われていますが、まず看板や案内表示の多言語対応というアプローチが取られています。
今回紹介するのはインバウンドだけが対象ではない、より感覚的に理解ができるサービスについての実証実験です。
ARってどんな技術?
実際の風景に資格情報を重ねて表示し、世界を“拡張”する技術がAR、「Augmented Reality」で、拡張現実と訳されています。ARを活用したサービスの代表的な事例が「ポケモンGO」のARモードですね。 実際の風景の中にポケモンが本当に表れたような感覚はまさにARによって拡張された現実、という表現がぴったりきます。
ARを活用した道案内
近畿日本鉄道株式会社(近鉄)は近鉄奈良駅でARを活用した道案内の実証実験を始めています。 スマートフォン越しの風景に目的地までのルートを表示し、駅内外の道案内を行うというこのサービスはインバウンド向けの対話や画像に対応したWebサービス、「奈良ガイドボット」を元にARを活用したルート案内の機能を搭載して実現したものです。 近鉄は奈良や伊勢志摩エリアなどの沿線に多くの観光地があることから、急増している外国人観光客も含むすべての利用客に対して、言語に依存しない直感的な操作と視覚的な情報による案内を意識したスマートフォン向けアプリの提供などによる経路案内や観光案内を「シームレス案内」として積極的な取り組みを始めていますが、ルート案内だけではなく、歩きスマホによる衝突防止などの危険を発生させない機能を搭載する等、実用化に向けた実験を続けています。
スマホとWi-Fiの使用状況から混雑を予想
多くのインバウンドが訪れる京都ですが、特に紅葉のシーズンには多くの人出で混雑することでしられています。そこで国土交通省は観光客のスマートフォンのWi-Fiの使用状況から人出のデータを取集し、混雑を予測してウェブサイトに表示するという実験を紅葉の名所で知られる京都・嵐山で始めました。 予測結果は「嵐山快適観光ナビ」に表示されますが、嵐山の8エリアから場所と日付を選ぶと、午前7時~午後8時の1時間ごとの予測をグラフでみることができます。 地図画面ではそれぞれのエリアの混雑予測の他、混雑を踏まえたお勧めルートを表示することができますが、これによって観光客の分散を狙うとしています。 これによって観光地だけではなく、交通機関の混雑も間接的に解消できるのではないか、と関係者は期待を寄せています。
まとめ
ARを活用した道案内とスマホ、Wi-Fiの利用から混雑を予想するという2つの事例を紹介しましたが、どちらの事例も実用化されれば私たち日本人にとってもかなり便利に活用できるサービスではないでしょうか? 交通機関の複雑な乗換えだけではなく、商業施設、スポーツイベント等でもARや混雑予想が活用されることで施設側、利用者側双方にメリットが生まれる可能性がありますね。