勝ち続けるドラッグストアにおけるインバウンド事情

主にアジア圏を中心とした訪日外国人観光客が滞在中に必ず訪れる場所の一つがドラッグストアです。
ドラッグストアの市場規模は売上高ベースで2016年度には百貨店を上回り、6兆4916億円もの規模になっています。
このように成長を続けているドラッグストア業界がインバウンド需要から受ける恩恵やインバウンド獲得のためにどのような働きかけをしているのか、紐解いてみましょう。

直近のデータから見るドラッグストアの成長

2018年5月の売り上げランキング

2018年5月の営業概況がドラッグストア15社から発表されました。
そのうち売上高5000億円強となる上位5社の既存店の売上高を順位順に見ていくと、ウエルシアホールディングスが前年同月比1.2%増で首位、ツルハHDが0.6%増、マツモトキヨシが1.1%増と続き、サンドラッグが1.5%減となるものの、コスモス薬品が0.9%増と続きます。6位以下についても前年比で増収となるところが多いという結果が出ています。

インバウンド消費購買件数

ID-POSデータの分析を行う(株)True Dataが発表した全国ドラッグストアのPOSデータ(2018年4月)からインバウンド消費の動向を見てみると、4月の1店舗あたりのインバウンド消費購買件数は1928件となっており、前年同月の1253件と比較して約54%の増と大きな伸びを示しています。

インバウンドで人気のカテゴリーは化粧品

特に目立つカテゴリーは化粧品で、売上数のランキングで見ると上位30位内にパックやUVケア商品を含む12商品が入っています。
爆買い、という言葉を耳にするようになってから随分時間が経過したように思いますが、まだまだインバウンドによるドラッグストアでの購買意欲は衰えていないようです。

マツモトキヨシのインバウンド戦略

インバウンドの占める割合

ドラッグストア大手の一つ、マツモトキヨシの業績は中国他からの外国人観光客の消費に支えられていると言われており、売上の10%程度をインバウンド消費が占めていると目されています。

中国人へのインバウンドの対策

マツモトキヨシはインバウンド需要の獲得に積極的で、免税店舗の増加、フリーWi-Fiの提供、銀聯カードの取り扱い等、中華圏の需要を取り込む試みを比較的早い段階から行ってきました。

また、店舗に来てから商品を選ぶというよりはあらかじめ購入する商品を決めて「指名買い」することが多い中国人に向けて微信(WeChat)と呼ばれるSNSを活用したプロモーションやクーポン配信などを行っています。

このような取り組みの成果として、インバウンド市場でのマツモトキヨシの存在感があると言って良いでしょう。

PB化粧品で収益UPを実現するドラッグストア

利益率の高いPB製品戦略

このように訪日外国人のインバウンド需要では化粧品の人気が高いのですが、 各社PB商品を開発していることで高い利益率を確保しています。
PB製品といえば流通経費や宣伝広告費の削減により、品質の割には安い、という位置づけになるものが多いのですが、ドラッグストアの場合はナショナルブランド品と同等かそれ以上の高付加価値で訴求している製品が少なくありません。

マツモトキヨシの場合

いくつかのPBを使い分けていますが、「アルジェラン」シリーズのオーガニック系シャンプーの場合、税込み1625円と大手メーカー企業のシャンプーの2倍を超える価格設定となっていますが、比較の対象をオーガニック系シャンプーにした場合、割安と思えるところに価格を設定しています。

その他の大手ドラッグストアの場合

サンドラッグのPBである「シャイビー」、「インナーパート」や、ココカラファインのPB、「VIVCO(ヴィヴコ)」、ウエルシアHD/ツルハHDの「HapYcom (ハピコム)」等のPBを展開しているなど、業界全体の流れであることが分かり、ドラッグストア業界の成長の一つの理由として見ることが出来そうです。

インバウンドに偏り過ぎることのリスクも考慮

ドラッグストアにとってインバウンド需要の取り込みは重要ですが、為替相場の変動によって海外からの観光客が減少することにより購買力の低下等を招く可能性があり、インバウンド需要に頼りすぎることの危険性も指摘されています。
前述のPB戦略はインバウンド向けというわけではなく、国内でも好調と言えることから国内外の売り上げのバランスを取りながらインバウンド需要低下時のリスクを回避する働きも期待できそうですが、2020年に向けてインバウンド人口は増加する見通しであることから、今後もドラッグストアのインバウンド対策は小売業のモデルとして目が離せないところですね。

—-記事ここまでです‐‐‐‐

参考:https://www.sbbit.jp/article/cont1/35049
https://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ15I8C_V10C17A3TI1000/

ドラッグストアのインバウンド消費/4月は資生堂のUVケアなど化粧品好調

マツモトキヨシホールディングスのPB戦略、店舗ごとの品揃えを促進(CATs8月21日号)