東京オリンピックまで半年を切っていますが、懸案事項の一つとして宿泊施設の不足があると言われており、その解決策として民泊や新規に作られるホテルなどが挙げられていました。
オリンピック特需がささやかれる中で宿泊費用の高騰が一部で報道されていましたが、2020年2月12日時点ではどのようになっているのでしょうか?
東京都内のビジネスホテルが通常の3~4倍程度
東京都内、新橋・汐留周辺のホテルを楽天ビジネスでオリンピック開催期間となる7月24日から8月9日までの間、前後も併せて19泊した場合で検索をしてみました。 結果としては通常1万円程度で宿泊できるビジネスホテルが1泊3万円から5万円という料金設定になっているところが多いようです。 同じホテルであってもオリンピック期間前の7月1日からの1週間を見ると1万円~2万円程度の料金設定であることを考えると、オリンピックに合わせた価格設定が行われていることは事実のようです。
ホテルの料金は変動するのが常識
ホテルの料金は平日と週末では設定が変わったり、イベントや繁忙期などでは高くなり、閑散期には安くなるというのが一般的で、東京オリンピックのようなビッグイベントということになれば宿泊施設側からみればまたとないビジネスチャンス、ある程度料金が上がるのは考え方としては理解できます。 あとはそのホテルの料金に対するポリシーやブランドとの相談、ということになるのではないでしょうか? 2月12日時点でのオリンピック期間中の価格設定について筆者が個人的に言うとしたら確かに高いけれど、非常識と言えるほどではない、というものです。
渋谷の民泊物件の一泊平均単価が31万円?
では、民泊物件についてはどうでしょうか? ホテルなどの宿泊施設がプロが運営しているのに対し、民泊は副業として営んでいるケースや投資事業として運営されているケースもあり、宿泊料金の設定はオーナーの匙加減という形になりますが、民泊についても東京オリンピック期間中に異常に高騰している、というニュースを目にしました。 そこで2月12日時点での大手民泊サイトで7月24日から8月9日までの間、前後も併せて19泊という条件で東京都渋谷区の民泊物件を検索してみたところ、 1泊あたりの平均宿泊料金が約11万円という結果になり、報道であったような一泊の平均単価が31万円というようなことはないようでした。 一泊11万円の民泊物件に4人で宿泊した場合、1人当たりは2万7500円となるので、前述のビジネスホテルの宿泊料金と比較した場合、相場感がある価格のように思えます。
民泊オーナーの攻めた料金設定が目立った結果?
ニュースとなった民泊物件の異常な価格については一部の攻めた料金設定が影響したものとも考えられますが、2月現在料金が異常というほどではなくなった理由の一つとして新型コロナウイルスがある可能性があります。 2020年1月に新型コロナウイルスによる肺炎が発生し、まだ終息の見通しが見えていませんが、中国政府が海外旅行の制限等を行ったこともあり、本来は多数のインバウンドに沸く春節時期の訪日旅行の多くがキャンセルになりました。 結果として宿泊予約が多数キャンセルとなり、今後の情勢が不透明なこともあり、オリンピックイヤーかつ民泊といえども強気の料金設定が難しくなった、ということもあるのではないでしょうか?
まとめ
東京オリンピックの開催そのものの是非すら話題になるような状況となっている昨今、当初言われていたように東京オリンピック期間に宿泊施設が不足するのかどうか、予測が非常に難しくなっています。 あらゆる商品やサービスの料金は需要と供給の関係で決まる、という原則は理解した上でのことですが、観光立国として日本が将来的にも多くのインバウンドを継続的にリピーター化する必要があることを考えるとオリンピック期間中に訪日したインバウンドや観光客が納得できる水準での料金設定が求められます。