企業がプロモーションやマーケティングにSNSを活用するのは一般的になっていますが、消費者の動向を把握する目的でもSNSの重要度は増しています。
インバウンドがSNSでどのような情報を配信したのかを分析することで日本の観光スポットがどのように認識されているのか、を理解しようという試みが東京海上日動によって行われています。
ツイッターや微博など、英語・中国語・韓国語のつぶやきを分析
この調査は損害保険大手の東京海上日動が、2017年秋からの1年間を対象に行ったもので、ツイッターや中国版ツイッターと言われる微博(ウェイボー)など、英語、中国語、韓国語のSNSでのつぶやきを約170万件をピックアップし、分析したものです。 さらに投稿の中で内容が好意的なものを「ポジティブ度」として点数化しています。
つぶやきが多かったスポットは?
つぶやきの数そのものは人気の観光スポットが多くなる傾向があります。 つぶやきの数が最も多かった伏見稲荷大社(京都府)をはじめ、東京タワー、大阪城、ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(大阪府)などのメジャーな観光地やテーマパークは観光客の母数が多い分、つぶやきの数が多くなります。 ここで内容が好意的かどうかを点数化した「ポジティブ度」についても見てみると、下記のような観光スポットはつぶやきの数、ポジティブ度ともに中央値よりも高い数値を示しています。
つぶやき数・ポジティブ度が共に高い
・金閣寺(京都府)
・浅草寺(東京都)
・広島平和記念資料館(広島県)
どれも国内外で有名な観光スポットで、観光客も訪問前にある程度情報を持っていると思われますが、それでもポジティブ度が高い、ということは期待を上回る点が多い、ということが考えられます。
つぶやき数が高く、ポジティブ度が低い
・東京タワー
・大阪城
・ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(大阪府)
ポジティブ度が低い要因として混雑状況などのネガティブな要因や観光客に響いていない可能性などが考えられます。
つぶやき数は少ないが、ポジティブ度が高い
・宮島(広島県)
・兼六園(石川県)
・姫路城(兵庫県)
・サムライミュージアム(東京都)
これらのスポットはポジティブ度の高さを観光地として集客力が高いと捉えると、SNSを経由したプロモーションやつぶやきを誘発するような仕掛けをすることでより多くの観光客を迎えることができそうです。
都道府県別の結果は?
今回の調査ではつぶやき数とポジティブ度について都道府県別にもまとめています。 つぶやき数が少なく、ポジティブ度が高い、といった観光地は地元の人も見落としている観光地としての魅力がある可能性があります。 北海道を例に取ると、下記のような結果が出ています・
・つぶやき数が多い 小樽運河
・ポジティブ度が高い 宗谷岬
小樽運河は北海道観光の定番スポットで、多くの観光客が訪れていますが、観光地として整備されすぎていると感じる人も少なくないかもしれません。 その点、北海道の最北端に位置する宗谷岬から望む雄大な風景は訪れた人に強い印象を残すのかもしれません。 ポジティブ度が高かった観光スポットとして、核都道府県で下記のようなところが挙げられました。
・屋久島の白谷雲水峡(鹿児島県)
・阿蘇の大観峰(熊本県)
・五箇山(富山)
・書写山円教寺(兵庫県)
いずれも自然と歴史の積み重ねを感じることができるという点を共通点として捉えることができそうですね。
まとめ
今回の調査ではポジティブ度という指標を用いた分析を行ったという点がポイントですが、多くの観光客が訪れる観光スポットではつぶやきの母数が大きくなるため、ポジティブ度についても低いものが多く混ざる可能性が考えられます。 東京海上日動は調査結果を地方自治体や観光協会などに提供するとしていますので、地元の観光地がどのようなつぶやき方をされているのか分析することで発信する側と受診する側のズレを確認することが出来れば、さらにインバウンドにとって満足度の高い観光開発が可能になるのではないでしょうか?