インバウンド数は年々増加していますが、過去の推移について見てみると、とても急速に増加しているということがわかります。
また、インバウンド数が増加した結果、国内経済にどのような影響が出ているのかを消費額の増加から見ていきましょう。
訪日外国人旅行者数の推移
インバウンド数の増加については報道されることも多く、2018年の3,119万人は過去最高の数字です。 では、過去の推移を振り返ってみましょう。 2008年の訪日外国人旅行者数は835万人と、いまの水準から見ると非常に少なく思えますが、2011年の東日本大震災で一旦落ち込みを見せるものの、以降は毎年右肩上がりに成長、過去最高を更新し続け、2020年に4000万人という目標に近づいています。 要因としてはインバウンド誘致のためのビザ発給要件の緩和や消費税免税制度の拡充といったものが挙げられる他、日本政府観光局ほかによるプロモーションが挙げられます。
国や地域別にみたインバウンド数は?
2018年度、アジアからの訪日外国人旅行者数は2,637 万人、これは前年比8.3%増で、インバウンド全体の84.5%を占めています。 国・地域別インバウンド数のトップは中国ですが、それでも2018年は前年比で13.9%と2桁を超える伸びを見せ、800万人を超えるなどまだまだ伸びしろがあることを思わせます。 また、ASEAN主要6か国からの訪日旅行者数は333万人と初めて300万人を超え、タイでも100万人を超えるなど、過去最高を記録しています。 欧州からは 172 万人、このうち主要五か国(英国、フランス、ドイツ、イ タリア、スペイン)からの合計は112万人となっているほか、北米からはアメリカの過去最高となる153万人を含む合計186万人の旅行者が日本を訪れました。 全体として物理的な距離が近いアジアからのインバウンドが圧倒的に多い、ということになりますが、政府としては訪日外国人旅行消費額8兆円という目標に向け、欧米豪から集客したいという思惑があります。
インバウンドによる国内消費額の推移は?
では、そのインバウンドによる国内消費額の推移を見てみましょう。 東日本大震災後の2012年度の国内消費額は1兆846億円でしたが、その後急速に拡大を見せ、2年後の2014年度には約2倍の2兆278億円、2018年度には4兆5189億円にまで達しています。 しかし、2020年の政府目標、8兆円を達成するためには単純にインバウンド数を増加させるだけではなく、1人あたりの旅行支出が高い国や地域からのインバウンド誘致が必要だとされています。
1人あたりの旅行支出が大きいのはどの国・地域?
そこで1人あたりの旅行支出が大きい国・地域がどこなのか、見てみましょう。
ランキングを見ると1位はオーストラリアで、以下は3位の中国以外は欧州が占めています。 また、平均泊数を一緒に見てみると、隣国・中国と比較した場合、オーストラリア他の各国はより長く日本に滞在していることがわかります。
滞在が長いということは消費の機会がまだたくさんあり、1人あたりの消費額を伸ばせる余地がある、という見方ができます。 そこで政府としてはこれらの国に対して積極的にプロモーションを行い、誘致を進めるとともにナイトタイムエコノミーの開発やスポーツツーリズム等、体験型観光を充実化させることで消費の拡大や滞在期間の長期化を目指したいというわけです。
まとめ
インバウンド数に関しての目標、2020年に4000万人は実現できそうなところまで来ていると思いますが、消費額8兆円はちょっとハードルが高い、という印象ですが、このあたりの数字を把握して政府の施策を見ると方向性がある程度理解できてくるのではないでしょうか? 出典:国道交通省 出典:観光庁