観光白書から日本の観光の現状を見てきましたが、前回触れた消費額について、もう少し細かいデータを見ていきましょう。
1人あたりの娯楽等サービス費が高い国は?
まず、娯楽等・サービス費の1人あたりの支出が大きい国について見ていきましょう。
ランキングを見るとオーストラリアの16,171円がダントツですが、それでもオーストラリアからのインバウンドの平均泊数13.3泊で16,171円しかサービス・娯楽に使っていないという見方もできます。
また、ランキング上位国は比較的日本からの距離が遠い傾向があり、これはせっかく来たんだから、という心理状態が関係しているのではないでしょうか? ちなみに隣国である韓国は3,917円を娯楽等サービス費として消費していますが、平均泊数は4.4泊と短いため、必ずしも消費が少ないというわけではないことがわかります。
お金を使いたくなる娯楽やサービスの拡充が必要?
政府目標のインバウンド消費額8兆円に届くためにはさらに消費してもらう必要がありますが、この娯楽・サービス費の割合は2018年度で消費額全体の3.8%しかありません。 せっかく日本に来たにも関わらず、それほどのお金を使っていない、としたら、お金を使いたくなるような娯楽やサービスを提供できていない、という可能性はないでしょうか?
1人あたりの宿泊費が高い国は?
では、旅行では必ず必要となる宿泊費はどうでしょうか?
いずれも合計金額なので、滞在日数が長い国や地域が宿泊費も高くなります。こうなるとやはり物理的に遠い国・地域からのインバウンドの方が滞在期間が長く、宿泊費の出費が大きくなることがわかります。 韓国の場合、距離的に近いせいか平均泊数4.4泊と短く、1泊あたり5675.9円の合計24,974円が宿泊費となります。
滞在期間が長く、出費金額が大きい国をターゲットにするのは妥当?
データから見て国がプロモーションのターゲットを欧米豪としている点には納得感がありますが、せっかくプロモーションしたとしても消費の受け皿がないことには消費額の増加は見込めません。 特に日本の場合、旅館の文化が根強いせいか、夕食が終わってからの娯楽に乏しいということが指摘され、観劇やスポーツ観戦などのナイトタイムエコノミーの拡充の必要性が指摘され、当ブログでも過去記事『経済効果は約80兆円?日本のナイトライフを活性化するインバウンド施策の現状』で取り上げています。
まとめ
消費額についてのランキングを見ると、観光立国化していく上で成長スピードが急だったこともあり、国内の整備がまだ不十分という傾向があるように思います。 特にインバウンドの消費が買い物等のモノ消費から体験等のコト消費へ移行している、と言われ始めてからしばらく経ちますが、まだまだコト消費の受け皿としての観光資源開発はこれからのようですね。