電子決済、というとQRコードを使用した決済方法が思い浮かびますが、現金や小切手のようなアナログな手段以外の決済方法を総じてキャッシュレス決済といいます。
例えばクレジットカードやデビットカードもキャッシュレス決済ですが、中でも交通系カード、おサイフケータイ、ORコードによる決済等が電子決済です。
キャッシュレス決済の比率が低いと言われる日本ですが、国別にインバウンド人口が多い所を中心に電子決済の普及状況を見てみましょう。
中国はQRコード決済が爆発的に普及
国別インバウンド人口1位の中国はQR決済が普及し、個人商店やスーパーでの買い物はもちろん、タクシー、通販、個人間の送金など、お金が動くほとんどの場面をQR決済で処理することができます。 現在は以下の2つのQR決済がシェアを争っています。
Alipay(支付宝/アリペイ)
Alipay(支付宝/アリペイ)は、中国最大のECモールを運営するアリババグループが提供しているQR決済です。主に自社の運営するECモールでの決済からスタートしたAlipayですが、その後利用可能な範囲をどんどん拡大、2018年1月時点でのアクティブユーザーは5億2000万人を超え、社会インフラの一部と言えるような存在感を示しています。
WechatPay(微信支付/ウィーチャットペイ)
WeChatPay(微信支付/ウィーチャットペイ)は、中国最大のIT企業・テンセントのコミュニケーションアプリ「WeChat」の持つQRコード決済機能です。 LINEと比較されることが多い「WeChat」ですが、2018年3月時点のアクティブユーザー数が10億人と言われるほどの巨大プラットフォームとして中国人の日常に定着、6億人以上がWeChatPayを店舗やオンラインでの支払いに利用していると言われます。
台湾
台湾のキャッシュレス決済の状況を見ると、クレジットカードの決済の他、「悠遊カード」等の交通系カードが電子決済として根強い人気を誇っています。これは悠遊カードに学生証や社員証の機能があるためで、生活する中で利用する頻度が高いということが背景にあります。 一方、QR決済の利用率は2018年の時点で13%と低いのですが、政府は2025年に90%のモバイル決済普及率を目標として推進しています。 現状、最も利用されているQR決済はLINE Payの22.3%で、Apple PayやJKO Payが続いています。
アメリカはChase Payが代表的なQR決済
Apple PayやGoogle Payのように手持ちのクレジットカードやデビットカードを登録して利用するNFC決済が主流のアメリカですが、金融大手のJPモルガン・チェースはQR決済、Chase Pay(チェース・ペイ)を2015年にスタートさせ、ウォルマート他大手小売業者の各店舗で利用が可能になっています。
イギリスはまだデビットカードが中心
小切手社会・イギリスのキャッシュレス決済の歴史は長いのですが、1987年にデビットカードが登場、小切手に替わる決済手段として普及したことからさらにキャッシュレスが進みました。 2016年にはカード決済率が現金決済率を上回り、小さな個人商店やカフェ、スーパーマーケットなどでの少額決済もカードを使用するのが一般的です。 QR決済としてはYoyo Walletと呼ばれるサービスがスタートしており、購買行動を追跡する機能が付いていることから大手小売との提携をベースにシェアの拡大を狙っています。
まとめ
インバウンド対応という視点で見た場合、QRコード決済を導入することによって購買行動の活性化が期待できるはずですが、例えばおみくじや自動販売機、観光地のお土産物屋など、わざわざ財布を出すのはためらうけれど、スマホで決済できるなら買ってしまう、という場面は数多くあるはずです。 各地方を訪れるインバウンドと旅行中の行動を分析し、このような小さな需要を拾い、購買行動を発生させるという発想をしてみてはいかがでしょうか?