今まで翻訳の失敗事例を挙げてきましたが、失敗する大多数は翻訳業界をよく知らないからでは?と思ったので、今回は翻訳業界について書いていきます。ちなみに、みなさんは翻訳というとどんなものを想像されますか? たぶん大多数の人が想像する翻訳のイメージは映画の字幕やハリーポッターなどの書籍や出版の翻訳でしょうか。これって業界でいうとたった5%にしか当たらないんです。といった具合に、あまり知られていない翻訳業界を知ってもらえたらと思います。
また、翻訳の仕事をどんな人が請け負っているのか、その棲み分けにも言及していこうと思います。
翻訳の種類
翻訳業界といっても実は結構幅広いです。まずどんな種類があるのかを説明させてもらいます。先ほど挙げた「映像」や「出版」、この他に「産業」を合わせて3種類から成り立っています。この「産業」はぱっと見ではどんなものかよくわからないかもしれないですね。 どんなものがあるかというと、結構身近なものもあります。例えば、飲食店のメニュー表です。最近はインバウンド需要が高まっているので、英中日の3ヶ国語にするところが爆発的に増えています。せっかく外国人がたくさん来るんですから、それをみすみす逃す他はありません。 あとは、製品のマニュアルも多言語に翻訳されることが多いです。ここからBtoBになるのですが、特許関連やIRなど最近外国人株主にもちゃんと説明する必要が出てきたので、増えています。アドリンクもこの産業翻訳がメインになっています。
翻訳の市場規模
グラフを見てもらえば一目瞭然ですが、「産業」が一番市場規模が大きいんです。普段目にしている出版、映像はこんなにも少ないんです。映像に至っては見えないレベルですね。数字で見ると産業は推定2500億円、出版は推定100億円、映像は推定10億円となります。現在、翻訳の市場規模は2611億円に上っていて、ずっと増加してきているんですが、実に95%がこの「産業」にあたります。
翻訳の頼み先
これだけインバウンド需要が高まっていることもあって、翻訳を頼みたいと考えている方も多いと思います。自動翻訳・知人・クラウドソーシング・翻訳専門会社の4パターンになります。速さ、値段、正確性の3つから使い分けになると思います。
自動翻訳
速さ ★★★ 3
値段 ★★★ 3
正確性 ☆☆☆ 0
google翻訳やLINE翻訳がよく聞くところですね。web上で翻訳したい文章を入力すると自動的に翻訳してくれるツールです。大学生時代にお世話になった人も多いのではないでしょうか? これを使う場合、正確性はいらなくて簡単に翻訳するだけなら自動翻訳の精度でもありかもしれません。ただ、今後AIの発達によっては正確性も担保される可能性は高いです。
知人
速さ ★★☆ 2
値段 ★★☆ 2
正確性 ★★☆ 2
自動翻訳よりは正確性を求めたい時に気軽に頼めるのが、知人ですよね。留学経験者、帰国子女、外資系企業勤務などなど、1人くらいは知人にいると思います。ただ、これが危険です。翻訳専門に長年やられてきた人であれば、問題ないのですが、前回記事(ネイティブや翻訳者だからって完璧ではない!?翻訳会社が伝える3つの教訓)でも書いた通り、外国語が話せるのと翻訳をする能力は完全に別です。安易に頼んだのは良いが間違いだらけで全部やり直しになってしまった時に、無償ボランティアだったら何も文句は言えないですよね。
クラウドソーシング
速さ ★★☆ 2
値段 ★★☆ 2
正確性 ★★☆ 2
クラウドワークスやランサーズなどのオンラインで不特定多数に発注依頼できるサービスです。これにより誰でも簡単に安く外注できるようになりました。ただ、チェック体制に不安もあります。個人に直接頼む形式がほとんどのため、チェックをちゃんとしているかがわかりません。そのため、正確性という面では★2つです。
翻訳専門会社
速さ ★★☆ 2
値段 ★☆☆ 1
正確性 ★★★ 3
ちょっとした翻訳ではなく、IRや特許関連など専門性や正確性が必要なものは基本的にはここに頼む方が良いです。理由は需要に応じた専門家を揃えていたり、2重、3重にチェック体制が整っているからです。その代わり、値段と速さは少し落ちます。問い合わせはアドリンクの問い合わせフォームのように翻訳会社のHPから直接送るか、お付き合いのある広告代理店から紹介してもらうのが良いかもしれません。
まとめ
翻訳の種類、市場規模、翻訳の頼み先の3つを紹介させていただきました。翻訳市場はインバウンド需要が高まっている限りはずっと増えていくと思います。そうすると翻訳を頼む機会も比例して高まっていくと思います。その際にどこに頼むのかが重要になります。★の数から以下のような使いわけができると思います。
急ぎ、値段重視 → 自動翻訳
正確な翻訳 → 翻訳専門会社
全部そこそこ → 知人、クラウドソーシング
このように何を重視しているのかを先に考えてから検討してみると良いと思います。
そうすれば、あなたに合った翻訳が得られる可能性大です。
ぜひ参考にしてみてください。