年々過去最高を更新する訪日外国人観光客によって、以前は旅行業界がインバウンド需要の恩恵を受ける中心でした。
しかし、昨今は中央から地方へ、旅行・観光業界から周辺へと効果が拡大を見せています。
そんな中、過去最高を更新したのが宿泊者数です。
2017年の外国人宿泊者は7,800万人!成長する宿泊ビジネス
2017年1月から12月の延べ宿泊者数は4億9819万人泊で前年比1.2%増の数字となりました。このうち外国人の延べ宿泊者数は7800万人泊となっており、前年比12.4%増で調査開始以来最高を記録しました。 宿泊施設の不足等が起きる地域もある中、民泊新法による宿泊先の拡充等が対策として期待されています。 そんな中、新たなビジネスチャンスと捉えて新たな試みをするホテルが増えています。
オリジナリティあふれるホテルが登場
爆買いに代表されるモノ消費から日本でなければ体験できない、体験そのものに価値を見出すコト消費へと訪日外国人観光客の興味が移りつつあると言われて久しい中、コト消費を意識したホテルや宿泊施設が人気を集めています。今回は3つの事例を紹介します。
恐竜ロボットがお出迎えの近未来型ホテル『変なホテル』
ラグーナテンボス内の「変なホテル ラグーナテンボス」のフロントロビーでは全長7mのお父さんティラノサウルスの恐竜ロボットが出迎えを担当。 チェックインカウンターではお母さんと子供ティラノサウルスの恐竜ロボットがチェックイン/チェックアウトの手続きを行い、日本語はもちろん英語、中国語、韓国語での対応が可能です。 同ホテルは2015年に世界初のロボットホテルとして世界中で話題を呼んだ「変なホテル」の3号店として未来のホテルのあるべき姿を追い求めています。
サービス拡充で新たな価値創出『カプセルホテル』
カプセルホテルといえば快適性はともかく安い宿泊料が魅力、という印象ですが、中国人観光客を中心に人気となっています。 人気の秘密はやはりコト消費。カプセルホテルのような形式のホテルは日本以外にはほぼ存在していません。そこにオリジナルな訪日体験という価値が生まれています。 このような注目度の高さに伴い、女性や外国人を対象とした設備やサービスを充実させた新しい形のカプセルホテルが生まれています。 珍しいが動機で注目されたカプセルホテルですが、充実のサービスを体験することで今度は利便性という本質的な部分でも評価を集めることになりそうです。
宿泊で日本伝統文化に触れる『寺社仏閣』
5つ星ホテルへの宿泊は素晴らしい体験ですが、日本以外の国であっても体験することが可能です。 そこで日本オリジナルを求める外国人観光客が目を向けるのが寺社仏閣への宿泊です。 高野山真言宗の総本山として知られる高野山には52か所のお寺が参拝者のための宿泊施設・宿坊を一般客に向けて解放しています。 宿坊に泊まり、精進料理を楽しみながら高野山の歴史や文化に触れることはまさしく日本オリジナルで、5つ星ホテルでは経験できないものになっています。
個性的なホテルが宿泊ビジネスに新規参入
このようなインバウンド需要の拡大を受け、個性的な宿泊施設が増えています。 今回紹介した事例に共通するキーワードは日本オリジナル。 IT企業やマンション開発会社等が新たなコンセプトで宿泊ビジネスに参入する中、宿泊でのオリジナル体験が訪日リピーターの獲得につながるのではないでしょうか。