2020年に訪日外国人観光客4000万人を目指す日本ですが、多くの外国人観光客を受け入れるということは多様な生活様式、文化の違いを受け入れるという意味でもあります。
飲食店のインバウンド対応として以前ハラール対応について触れていますが、今回はヴィーガンについての対応を見ていきましょう。
ヴィーガンとベジタリアンの違いはどこにある?
肉や魚を食べない人を指してベジタリアン(菜食主義者)というのはかなり前から日本でも浸透していますが、耳にする機会が増えて来たヴィーガンになるとベジタリアンとどう違うのか、いまいちわかっていないという人が多いのではないでしょうか?
ヴィーガンは絶対菜食主義者のことを指しており、肉や魚を口にしないベジタリアンよりもさらに厳格です。具体的には卵、乳製品も一切口にせず、ハチミツも食べません。
ヴィーガン対応のレストランは少ない日本
ベジタリアン、ヴィーガンに対応したレストラン情報を多言語で配信しているサイト、「Vegewel(ベジウェル)」を運営するフレンバシーの播代表取締役によると、2017年に訪日した外国人観光客のうち、全体の4.7%にあたる134万人がヴィーガンを含むベジタリアンだと推計しているそうです。 また、東京都の実施したアンケート調査によると訪日外国人の13.1%がハラール対応、ベジタリアン対応の飲食店が分からなかった、という回答をしています。 播代表は日本にはベジタリアン対応の飲食店が少ないため、ベジタリアンの外国人観光客はコンビニでおにぎりを買うなどして過ごしていると語っています。
世界中でヴィーガンは増加傾向
その反面、ヴィーガンを含む採食主義者は近年世界中で増加傾向にあります。 特に増加が目立つのが欧米の先進国で、ベジタリアン、ヴィーガン専門のレストランやスーパー等も増えています。
アメリカは若者中心にヴィーガン人口500%増
2017年には人口の6%、約2000万人のヴィーガンがいるとされていますが、2009年の時点ではヴィーガン人口は1%しかいなかったことを考えると急増していることがわかります。 特に若年層での増加が目立っていることから、今後数年間は急増を続けるだろうと言われています。
ヴィーガンが住みやすい街・ベルリン
ドイツでは人口の10%程度がベジタリアン、またはヴィーガンと言われています。首都であるベルリンには約60店舗のベジタリアン・ヴィーガン専門レストランが店を構え、400近い飲食店が菜食メニューを導入しています。 その他、イギリスでは2017年時点でのベジタリアン人口は全体の約3%、ヴィーガン人口は1%台ですが、過去5年間の増加率は360%と急増していることが分かっています。 このようなデータから、今後もインバウンド人口に占めるベジタリアンやヴィーガンの数も増加することが伺われ、観光立国を目指す日本としては対応の必要が高まっていくでしょう。
トリップアドバイザーでもヴィーガン対応店が上位にランキング
数多くの訪日外国人観光客が参照するサイト・トリップアドバイザーでもヴィーガン対応店が上位に入っている傾向を見て取ることができます。 東京23区のグルメ・レストランという条件で検索したところ、
2位の「伊勢すえよし」 5位の「300BAR NEXT」 7位の「鍋ぞう 新宿東口店」 10位の「庖」
このようにベスト10内に4件のヴィーガン対応レストランがランクインしています。
積極的なヴィーガン対応で生まれるビジネスチャンス
2017年度の訪日外国人の総消費額は4兆4,161億円、前年比17.8%の増となっています。
旅行支出を平均すると一人当たりは15万3,921円、そのうち飲食費は3万869円と試算されています。
しかし、ベジタリアンやヴィーガンへの対応がほとんど手付かずといっていい日本では、飲食業界は多くの伸びしろを残しています。
ビジネスチャンスを手にできる可能性がある今、飲食店を経営している方はヴィーガン対応、ベジタリアン対応を積極的に進めてみてはいかがですか?