訪日外国人観光客が移動に使用する交通機関としてタクシーがありますが、利用するのに不安がある、という声があります。
その理由として
①料金がいくらかかるかわからない
②決済手段
③コミュニケーション
がありますが、今回はそれぞれについての対策を見ていきましょう。
タクシー運賃の明確化で利便性向上
まず、タクシー運賃を乗車前に確定するという新サービスが国土交通省による運賃ルールの見直しを元に早い地域では2019年度から導入される予定になっています。 このニュースは配車アプリが主流となり、乗車前に料金がわかる中国でもSNSで話題として取り上げられ、概ね好意的に受け止められている反面、日本のタクシー料金の高さも話題になっているようです。 あらかじめ料金がわかることで乗車後に思ったよりも高い料金を請求されたというようなトラブルをタクシー会社、利用客ともに回避でき、安心してタクシーを利用できるのは大きなメリットです。
タブレットでキャッシュレス決済を推進
QRコードを活用したキャッシュレス決済の普及に向けて各社がキャンペーンを行っていますが、インバウンド人口の約4分の1を占める中国人観光客が利用している支付宝(Alipay)や微信支付(WeChatPay)など、キャッシュレス決済対応が進むことで日本円への両替の手間がなくなり、支払い時の利便性向上が見込めることからインバウンド消費の向上が期待されています。 JapanTaxiでは2017年から後部座席にタブレットを設置し、希望する決済方法を選択できるシステムを導入し、全国8都市のタクシー車両で運用しています。
コミュニケーションは外国人ドライバーと翻訳機
外国人ドライバー
タクシーのインバウンド対応で問題として必ずあがる外国語でのコミュニケーション問題に対して都内でサービスを展開する日の丸交通では2020年に100名を目標として外国人ドライバーの採用に積極的です。 2018年5月時点で11か国、23名の外国人ドライバーが在籍しています。 東京オリンピックではインバウンドによるタクシー需要の高まりが予想されることから期待されるサービスですが、タクシーを運転するために必要な2種免許は日本の普通免許を取得してから3年経過しないと取得できない他、永住者、日本人の配偶者等、定住者のような就労に制限のないビザを所有している外国人しか対象にならないため、母数が少ない点が気になります。
AI翻訳機
一方、JapanTaxiでは車載のタブレットにソースネクストが展開する世界74言語に対応しているAI翻訳機『ポケトーク』を搭載、客席側のタブレットから話しかけると、ドライバー側のタブレットに日本語が表示されるとともに音声が流れ、ドライバーからの返答も同様に客席側のタブレット上に音声と外国語表示されるという形で対話が可能になっています。 このような翻訳機での外国語対応はタブレットなどの初期投資が必要ではありますが、複数の言語に対応できるという点と外国人ドライバーと違い、育成や雇用の確保、維持を考慮しなくても良いという点ではより現実的かもしれません。
まとめ
タクシーにおけるコミュニケーション向上対策として外国人ドライバーと最新テクノロジー、という対比が見えていますが、それぞれに一長一短があることがわかります。 外国人ドライバー同様、AI通訳機についても事例が多数集まるとまた改善の余地などが見えてくるのではないでしょうか?