増加を続けるインバウンド数ですが、消費行動が買い物を中心としたモノ消費から体験を中心としたコト消費へと移行している、と言われてからかなり時間が経過しています。
今回はコト消費の中でも人気を博している料理教室を通してインバウンド対策について考察してみましょう。
日本の体験・ツアーランキングでは30位以内に4つの料理教室
トリップアドバイザーによる2018年の日本の体験・ツアーランキングでは以前このブログで紹介した3位・「ユカズ ジャパニーズ クッキング」や7位・「マユコズリトルキッチン ジャパニーズクッキングクラス」以外にも12位・「Cooking school Yuka Mazda(現在は営業終了)」、21位・「イート・オオサカ」と4つの料理教室がランクインしており、高い人気を獲得していることが分かります。
人気の理由とは?
①どれもプライベートな料理教室
料理=日本文化の理解
これらの料理教室に共通して言えるのはどれもプライベートな料理教室だということです。 日本食の健康的なイメージと家庭的な日本食の作り方を家庭で学ぶという点が日本の文化を深く理解する上で役に立つ、と考える訪日外国人観光客が多いということが言えます。
オーナーの人柄
また、参加者によるコメントを見て、さらに利用したいと考える訪日予定者が出る、という好循環が生まれていますが、料理教室の内容そのものについての評価はもちろん、オーナーの人柄やホスピタリティによって最高の体験をした、というようなコメントが多いです。 このような点は企業ではなかなか真似の出来ない要素ではないでしょうか?
②普通に生活している日本人と話すことができる
参加者のタイプは様々
東京都内で外国人観光客に向けた料理教室を3年前から開き、人気を博しているあるオーナーさんによると、教室に参加する外国人観光客はひたすら写真を撮影し、SNSにアップする人、ミシュラン掲載の寿司店にも行ったことのあるような和食通の人、日本のマンガやアニメを経由して和食に興味を持った人、日本人でも知らないような文化や歴史を知っているような日本通の人など、タイプは様々だといいます。
日本人の日常を体験
彼らの共通項について尋ねると、ホテルやレストラン、ショップの店員といった職業的にサービスを提供している人との会話やコミュニケーションではなく、一般の日本人の生活に触れて、普通の日本人とコミュニケーションをとりたい、という点が指摘されました。 料理の味、技術、それを支える文化といった和食に関する要素だけが外国人観光客を誘引しているわけではどうやらなさそうです。 企業が磨き上げた一流のサービスがおもてなしとして高い評価を集める反面、より日本人の日常に近い体験を「本物の体験」として捉えている外国人観光客はもてなす側の日本人が思うよりも多いのかもしれません。
まとめ
インバウンド対策として多言語対応や観光資源開発など、様々な課題が挙げられますが、実際に取り組むには時間も費用も必要な場合が多く、始める前に無理、と判断してしまうケースもあるのではないでしょうか? しかし、今回の記事が示唆しているのは積極的に外国人観光客に対してコミュニケーションを取ることがインバウンド対策の最初の1歩、ということではないでしょうか? 費用が必要になる対策と違い、コミュニケーションを積極的に取る姿勢はすぐにでも始められます。外国語が出来ない、と物怖じせず、積極的にコミュニケーションを取ってみてはいかがでしょうか?