増加が続く訪日外国人観光客の宿泊先として定着した感のある民泊ですが、地域住民とのトラブルの原因となるなど、問題を抱えていることは事実です。
民泊新法の施行を控え、民泊ビジネスは新たな局面を迎えようとしています。
東北の分譲マンションでの民泊は実質不可能?
民泊新法について
2018年6月から施行される住宅宿泊事業法、いわゆる民泊新法は住居を利用した宿泊サービス業の営業日数を年間180日以下と定めた法律です。日本では宿泊サービスをビジネスとして行う場合には旅館業法という法律に基づいた免許が必要でしたが、これまでは民泊特区以外での民泊事業はグレーな行為であったところが180日間以内であれば合法的に民泊サービスを提供することができる、いわば規制緩和といえるでしょう。
180日間以内がネック
しかし、民泊新法以前、グレーのままで上限の180日を超えて民泊サービスを提供していた事業者にすれば民泊新法によって売り上げが半減する可能性が出てきます。 仙台市で以前から民泊事業を営む男性は民泊新法により上限でもこれまでの半分しか営業ができないとなると売り上げも利益も半減してしまい、このままではビジネスとして成立しないため撤退も視野に入れていると語ります。
マンションごとでの規制
また、民泊新法によってマンションでの民泊サービスを行う事業者の増加が見込まれますが、その場合にマンションの管理規約によって民泊が禁止されている場合、そのマンションでの民泊営業はできないという問題が浮上してくるのです。前述の仙台市で民泊事業を営む男性のマンションにも民泊サービス禁止の貼り紙が掲示されていました。 マンション管理業協会の東北支部によると東北地方で民泊を認めている分譲マンションがあるという話は聞いたことがない、といいます。
マンションにおける民泊規制、実は全国でも同じようなことに
民泊禁止のマンションの割合
このような傾向は東北地方に限った話ではありません。 マンション管理業協会が同協会に加盟している365社のマンション管理会社が管理を請け負っているマンション管理組合を対象として行った民泊の可否についての調査によると、民泊を許可しているのはわずか0.3%、民泊を禁止していると回答したマンション管理組合が80.5%という結果になりました。検討しているという回答が19.1%あったものの、民泊禁止のマンションがさらに増加する可能性も考えられます。
民泊禁止の理由
このようにマンションでの民泊禁止が全国的に広がる理由として騒音やごみ出し等の生活ルールを外国人宿泊者に徹底させることが難しく、既に多くのトラブルが発生しているということが考えられます。 地方自治体の中には地元住民の住環境の確保を最優先とし、民泊を制限する条例を制定する動きが出ています。 仙台市の場合は住居専用地域での土日以外の民泊営業を制限する条例案が3月14日に可決されており、事実上民泊営業そのものが成立しないと民泊事業者は憤りを見せています。
民泊ビジネスをこれから始める人は注意
本来は民泊を全国的に解禁する法律として期待が大きかった民泊新法ですが、実際のところ民泊業者は大きな制約の中での営業を強いられることになりそうです。 ビジネスとしての注目度も高い民泊ですが、これから民泊ビジネスに新規参入を検討している人は所在地の条例やマンション等物件の管理規約を確認した上でビジネスとしての将来性を考慮する必要があります。