インバウンドが利用する交通インフラとして最も利用頻度が高いのが空港です。インバウンドが右肩上がりで増加する中で政府目標の達成にむけて各地の空港で行われている取り組みを見てみましょう。
成田国際空港は1時間あたり72回滑走路処理が目標
日本最大の窓口といえる成田国際空港では増加を続けるインバウンド受け入れに対応するために総額で3220億円の設備投資を含む3カ年計画をまとめました。 具体的には2021年度までに滑走路処理能力を2018年度の68回から72回へと増強を目標とし、高速離脱誘導路、エプロン整備といった空港機能の強化を行います。 また、空港運営の生産性向上を目的としてトレイ清掃や旅客者を誘導・案内するロボットなどの先端技術の導入を推進していくものとしています。 増加を続ける訪日外国人(インバウンド)需要に対応するため路線の拡充も推進する。国際線就航都市数は19年3月末時点の115都市から21年度に135都市以上に増やすことを目指す。 10月末から運用時間が1時間延長になる。運用時間の延長は1978年の開港以来、初めてだ。2本ある滑走路のうちA滑走路は現在の6―23時の運用時間を、翌午前0時までに延長する。3本目となるC滑走路の新設やB滑走路延伸など、訪日外国人客の増加を見据えた空港機能強化計画の一環。 10年後とされるC滑走路完成時には、運用時間は5時―翌午前0時半にさらに拡大される。
中部国際空港は第2ターミナルが建設中
中部国際空港は格安航空会社が利用しやすいようにと使用料を抑えていますが、現在建設中の第2ターミナルは機能性を追求しながらも簡素な構造にすることでコストを抑えており、9月20日の供用にさきがけてLCCのエアアジア・ジャパン、チェジュ航空などが利用を公表しています。 現在、年間取扱旅客数は450万人ですが、最大800万人となる見込みとなっています。
関西国際空港はLCC誘致戦略で成功
アジアのゲートウェイとしての地位を確立した関西国際空港も戦略的なLCCの誘致によって活況となっています。 2012年春にピーチアビエーションが就航、同年秋にはLCC専用となる第2ターミナルが開設されますが、これをきっかけとしてアジアからの国際線LCC就航が相次ぐようになりました。 成功の背景には空港会社、鉄道ほかの公共交通機関、地元自治体や財界、航空会社を含めた4者による協力関係の構築があるとされ、LCCの就航が地域活性化につながるというモデルにもなっています。
税関深刻の効率化を顔認証技術が実現
このようなインバウンド受け入れキャパシティ増を各空港は実践していますが、現状ボトルネックになっているのが入国手続きと税関検査です。 入国手続きについては以前の記事で紹介したように日本人を対象とした顔認証ゲートを設けることで審査管を外国人の審査に割り当て、待ち時間の淡色を図るといった対策が行われていますが、税関深刻においてもスマートフォンのQRコードと顔認証技術を組活用したシステムによって効率化を目指す試みが始まりました。 同システムは4月16日から成田空港に導入されるもので、スマートフォンにダウンロードしたアプリに税関深刻に必要な内容を入力し、発行されたQRコードを読み込ませることで検査が必要かどうかを判定し、検査が必要ないと判断された場合は本人確認が行われるという仕組みですが、これによってこれまで税関担当者が対面で行っていた検査を効率化でき、混雑の緩和が期待されています。
まとめ
上記で紹介した税関検査の自動化システムは2019年中に羽田空港他、6か所の空港に設置される予定となっています。 訪日外国人にとって窓口となる空港は日本の第一印象を左右する場所でもあります。所要時間を短く、かつ適切な検査を行い、その後の訪日体験を素晴らしいものにしようとする努力が模索されています。